「ビットコインは4万8,000ドルまで上昇すれば利確売りで3万ドルあたりまでは戻ってくる可能性が高い」クリプトトレーダー・タキオン氏 1/2

タキオン氏に、最近のビットコインの相場について伺いました。

タキオン氏 プロフィール

クリプトトレーダー、BTC短期から長期まで幅広く株も商品もボラさえあればなんでも触る。最近はNFT多め。本業はWeb系のプロダクトマネージャー。

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取材実施日

2023年11月1日

最近のビットコインの相場は弱気ではありながらも価格としては堅調だったという認識

ーー前回は2023年3月に取材させていただきました。その後の暗号資産のマーケットについてどのように見ていますか。

前提として、最近の暗号資産の相場というのは、2021年に盛り上がって、2022年に沈んで、2023年の初頭には話題にも上がらなくなった、という変遷を経ています。

FTXのショック後は価格こそ2万ドル後半まで下がりましたが、2018年に比べれば弱気相場ではありながらも価格としては堅調だった、という認識です。

▼2018-2023年のビットコイン/USDのチャート

ただ、価格は堅調ですが市場参加者が本当に減少しました。

2023年3月の2万5,000ドルから同年10月に3万5,000ドルに上昇するまでの約7ヶ月間は、5,000ドルのレンジで10%ほどの値動きの中で閉じこもっている状態でした。

ビットコインのボラティリティを考えれば、10%のレンジというのは相当狭いです。そしてそれは、6,000ドル前後でのレンジ相場だった2018年に非常に似ています。

そのようなボラが少ない相場ではありますが、価格帯としては2023年の前回高値を超えていますし、2018年ほど悲観的な印象はありません。

しかしボラがないので、積極的には取引せず、下がったタイミングで現物を買い集めるという単純な取引にひたすら従事した半年間でしたね。

そういった単純な取引で、特段話題もなくなってきたので、私のツイッターのインプレッションも落ちてきています。

ビットコインは4万8,000ドルまで上昇すれば、利確売りで3万ドルあたりまでは戻ってくる可能性が高い

ーー2023年11月に入ってからビットコインの価格が上昇していますが、どのように見ていますか。

直接的にはETFの期待感による価格上昇だと考えています。

2023年8月末ごろに2万8,000ドルから2万5,000ドルに価格が下落したことがありましたが、その後相場は動かず現物は売られていませんでした。

常に現物の価格がデリバティブの価格より高い、いわゆるマイナス乖離的な状況で、現物需要の方が強いという印象です。

そのため、相場自体は低迷はしているものの、現物が売られて下がる印象はなく、何かトリガーさえあれば上がるとは考えていました。

3万ドル半ばも超えて4万ドル付近は相場が元気だった頃に多くの時間をかけて作った価格帯で、この価格帯であれば戻り売りする人も多そうで、壁は厚く、高く見積もっても4万8,000ドルのラインを超えるのはしばらくは難しいと考えています。

4万8,000ドルまで上昇すれば、利確売りで3万ドルあたりまでは戻ってくる可能性が高いでしょう。

2万ドル台の後半というのは、おそらくマイナーの損益分岐点となる価格帯で、2万ドルを割るほどの下落は起こりにくいと見ています。

ーー4万8,000ドルという数字の根拠はなんでしょうか。

2022年4月の下落寸前の高値だからですね。

もしかしたら5万ドルもあるかもしれませんが、この価格帯より上は相当難しい印象を持っています。

▼2022-2023年のビットコイン/USDのチャート

原油とゴールドは値動きが荒く、比較的わかりやすい動きだったためよく取引していた

ーー暗号資産はあまり値動きがなかったので取引はしていなかったということですが、ゴールドや株などは取引していましたか。

原油とゴールド、特にゴールドは値動きが荒かったこと、比較的わかりやすい動きだったことでよく触っていましたね。イスラエル、中東の動きで価格も乱高下していましたし、取引の機会は多かったです。

ゴールドはコロナ後に1,600ドルまで下落しましたが、大きく見ると1,800から2,000ドルのレンジをずっと上下しているので、レンジの下まで行ったら買い、上まで上がったら売りという取引で、個人的には得意な相場でした。

原油はコロナ後、2023年の春先まで下落し続け、その後上昇に転じました。

原油は上昇に転じると押し目なく継続的に上昇、下がれば下がり続けるといった特徴的な動きをするため、そのようなトレンドに乗った取引ばかりをやっていましたね。

この半年は原油とゴールドは比較的嚙み合っていたので、一定の成果を出すことができました。

れからの相場は2019年と同じような値動きを作る可能性が高い

ーー今後のマーケットについてはどのように見ていますか。

前提として、いまの相場は2019年の雰囲気に似ている印象です。

高値をつけた後に下落相場が訪れ、そこからもう一度復活したのが2019年だったわけですが、2019年は当時の最高値である2万ドルまでは上昇せず、1万4,000ドルをつけてまた下落し、コロナショックとその後の上昇に転じるまでは退屈な相場だったんですね。

2019年は、いまよりももっと絶望的な雰囲気をまとっていたのでいまとまったく同じとは言いませんが、一度沈んだ相場が再度復活する際に、一度の上昇で高値を超える可能性は低いのではないでしょうか。そのほか、半減期前という状況も当時と似ていますね。

そういった意味で、これからの相場というのは2019年と同じような値動きを作る可能性が高いと考えています。

ーーいまの相場の雰囲気はいかがでしょうか。

ものすごく悲観というわけでもありませんが、すごく楽観でもありません。

新規参加者が少なく、内輪のノリで盛り上がっているのも2019年とそっくりです。

2021年のバブルの重しになっていたものが浄化されれば自然と反発していくかと思いますが、いまは米国の金利も10年債で5%ほどと高いですし、すごく優位な状態ではありません。

いまは利上げの最中で資金が市場から徐々になくなってきていて、米国もクレジットカードの延滞率が上昇するなど景気後退を裏付けるようなトピックが話題です。

参考:米消費者に屈服の兆し-ガソリン高が支出妨げ、カード延滞率上昇 – Bloomberg

ポジティブな見方では、サイクルとしては、利上げ後、イールドカーブがフラット化、その後利下げとなることが多いのですが、ご存知のとおり、いまはイールドカーブがフラット化しています。そういう意味でも、今後、利下げを迎える可能性は高いと言えます。

総じて、積極的にリスク資産に資金を投下する投資家は少なく、これから大きく上昇する段階ではないでしょう。

戦争による不確実性の向上、中国の不動産リスクなどがあれば、ビットコインが2万ドル台まで下がる可能性は十分にある

ーーいまの相場が2019年と似ているとのことですが、2020年2月ごろにはコロナショックがありました。このような大きな下落の可能性についてはどのように見ていますか。

リーマンショック、コロナショックレベルのイベントが発生すれば、もう一度ビットコインが2万ドルを割るシナリオは十分にあり得ると思いますよ。

戦争による不確実性の向上、中国の不動産リスク、それによるドルの供給逼迫による換金売りなど、パッと思いつくものだけでもいくつか考えられます。

しかし、そのようなイベントがなければ、ビットコインは2万ドル台、強ければ3万ドルで停滞しつつ、金融緩和で再び上昇と予想しています。

ーー利下げ時期は元々2023年後半と言われていたものが、原油高の影響もあり後ろ倒しになっています。

おっしゃるとおりですが、利下げを後ろ倒しにすると言っても、これから金利が6%、7%になるかというとおそらくそうはなりません。

だからこそ、いまはイールドカーブがフラット化しているという認識です。

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全2回のタキオン氏のインタビュー、2記事目に続きます。

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