「資金管理と取るべきリスク量に対してのバランス感覚がある人は暗号資産の取引に向いている」クリプトプレイヤー・うどん氏 2/3

2015年から暗号資産に携わるうどん氏に、印象的な失敗や暗号資産の取引に向いている人などについて伺いました。

うどん氏 プロフィール

2015年からのクリプトプレイヤー。クリプト関連企業を2019年創業に携わり、売却。現在も複数のクリプト関連企業でアドバイザー・リサーチャーとして活動。

Sponsor

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取材実施日

2023年10月19日

イーサリアム以外のアルトコインには少額しか資金を入れない

ーー印象的な失敗について教えてください。

一回の取引で大きく損失を出したというのはあまりありません。

ゴックスも経験がありますが、数千ドルのものが2件で、それほど大きな失敗はしていません。

2017、2018年ではイーサリアムを一切売らなかったことで含み益が90%減になった、というのは失敗と言えるかもしれません。

ーー2015年からと長く携わる中で大きな失敗をしていないのはなぜでしょうか。普段からリスクヘッジしている、危ないところは触らないようにしているなど、なにか対策はしていましたか。

含み益を信用していないので、含み益の減少をカウントしてない、というのはあるかもしれません。

また、イーサリアム以外のアルトコインに資金を投下する際には少額しか入れませんし、自分でうまく管理してるからというのもあると思います。

2桁万ドルの損というのはないですね。

2015年、2016年ごろは全て弱小サービスで飛ぶ頻度が多かった

ーーFTX事件では暗号資産の取引が長いトレーダーでも被害に合っていることが多く、うどんさんが直前で逃げれたのは優れたリスク管理能力であるという印象を受けました。(インタビューの1記事目を参照

ラッキーでしたが、ゴックスする取引所をたくさん見てきたからというのはあるかもしれません。

2015年、2016年ごろは全て弱小サービスで飛ぶ頻度が多かったので。

ーー2021年ごろはFTX Earn以外にもレンディングサービスが多数展開され利用している人も多かったですが、うどんさんは利用していましたか。

多少資金を入れていた時期もありますが、市況が悪いときにはすぐに抜いていましたし、大きいロットは入れていなかったですね。

ーー暗号資産以外の株式や他の金融商品は触られているのでしょうか。

株式は2015、2016年に試験的に少額で買いましたが、それほど買ってはいません。

USDCショックがあった時に暗号資産やUSDCのポジションが大きくリスクが高いと思い、それから一部ドル預金にしていますね。

資金管理と取るべきリスク量に対してのバランス感覚がある人は向いている

ーー暗号資産の取引に向いている人、向いていない人はどういった人でしょうか。

暗号資産はたった一回の失敗で致命傷を負いかねないので、資金管理と取るべきリスク量に対してのバランス感覚がある人は向いていると思います。

例えば、FTXを疑いつつも、「この程度のポジションであれば最悪のケースでも致命傷を負わない程度のリスクに限定され、それでいて一定程度のリターンも見込める」と、バランスよく考えられる人は向いていると感じています。

ーーそのような考え方にうどんさんはいつたどり着きましたか。

私は2018年ですね。それまでは少額だったのでフルリスクで取引していましたが、さすがにいまここで全損のリスクをとるのはまずいと感じ始めました。

The DAO事件のときもほとんどのETHを入れていました。結果的には救済ハードフォークで助かりましたが、この件によって、すべての資金を一撃で持っていかれる可能性を肌で感じたというのもありますね。

ーーそれは失敗してこそ気付けるものですね。

そうですね。大きい金額を動かしていてそれでハッキングなどで全損するとメンタル的にも立ち直れなくなると思います。

少額で運用していた時期にいろんな失敗の経験ができたのはすごくよかったですね。

お金を使うこと自体に価値を感じてしまう人は利益が少しでも出るとその利益を確保することに必死になってしまう

ーーその他、暗号資産の取引に向いている人、向いていない人の特徴はありますか。

これは暗号資産に限らず投資全般においてですが、お金を使いすぎてしまう人は向いていないと思います。

お金を使うこと自体に価値を感じてしまう人、お金は使ってナンボという感覚の人は、利益が少しでも出るとその利益を確保することに必死になってしまいます。

結局、コロナショックなどいろんなショック、ベア相場はあれど、なんだかんだ暗号資産はこれまで右肩上がりでしたし、おそらくこれからもそれが続くと思いますが、そういう人は途中で売ってしまうことになります。

また、そもそも金遣いが荒い人は種銭を作れません。そういう人は投資に向いていないし、仮に一時的に投資でうまくいったとしても、破産の確率は高そうだなと思います。

ーーうどんさんは元々お金を使わない方か、もしくは途中で使わなくなったのでしょうか。

ドケチというわけでもありませんが、派手に使うことはありません。

儲かったからあれを買おうということはなく、これが欲しいからいま暗号資産をこれくらい売る、とリターンではなく必要なものベースで使っていく感じですね。

簡単な時期の中でも特にリターンを出せる人はその時期のずっと前から相場を見ている、土地勘がある人

ーー暗号資産の取引で成功するために重要だと思うことは何でしょうか。

まず一つ、ずっと長く居続けることは重要だと思います。

暗号資産はすごく難しい時期と簡単な時期が交互に来ますが、リターンを追求するという意味では簡単な時期に相場にいることが大切なんですね。

それで簡単な時期の中でも特にリターンを出せる人というのは、その時期のずっと前から相場を見ている、土地勘がある人なんです。

常にポジションをとる、Twitterを見続けるとかそういう話ではなくて、気が向いたときにいろいろウォッチしつつ、実際にプロダクトを触って遊んで楽しめると、長くこの市場に居ることができると思います。

ーー簡単な時期、バブルではよほど変なトークンを選ばなければどのトークンも一様に上がりますからね。

そのとおりです。

そして簡単な時期には、単にトークンに投資する以外の方法も登場します。前回のDeFiバブルでも、ファーミングなどリターンを追求できる様々な方法が登場しました。

そういった機会をいち早く掴むためには、結局、相場や界隈に居続けることが重要です。

2017年のバブルで起きたことと近しいことが2021年にも起きた

ーーうどんさんは2017年と2021年の2度のバブルを経験されていますが、2回目のブル、ベア相場だからうまく切り抜けられたというものはありましたか。

いくつかありますが、例えば2021年ごろにエアドロが流行りましたが、これはまさにその前のサイクルでも見たものです。

2017年ではメールアドレスを入れてニュースレターに登録するとコインがもらえるというのが、Bitcoin Talk上で頻繁に募集されていました。

そういったもので一撃数十万円、100万円というのがありましたが、特に盛り上がったのは、新しいトークンがたくさん登場した2017年12月、2018年1月ごろです。

最初にそのバブルシーズンで主役になるトークンが出てきて利益が出て、その後に有象無象のトークンが出てくるもう1シーズンがありました。

なので2021年にトークンが乱立したのは、2017年でも見たやつだなと思いましたね。

NEOやNEMも最初はエアドロから始まっています。

ホールドだけでなく「覚悟を持って適切に売る」ことも大事

ーーそのような経験が2022年前後などで活きたのですね。

はい、そうです。そしてもう一つ、「覚悟を持って適切に売る」ことも大事だと考えています。

イーサリアムやビットコインを本当に長くホールドしている方も結構いらっしゃると思いますが、途中で売るのはそういう人たちにとって勇気がいることだと思います。

「適切に売る」というのは大事で、私の場合、イーサリアムは基本買うことはあっても売ることはほとんどありません。ですが、売るべきときにガツンと売るというのは必要だったなと感じました。

実際、2022年前半に売ったときも勇気を持って売りました。

ーー売るための勇気というのは、売った後に上がり続けてしまう機会損失に対する勇気ということでしょうか。

それもありますし、いまあるものの残高を減らすので、これまで長いこと積み上げてきたものを減らしてしまうなんて勿体無いみたいな感覚になっちゃうんですよね。

私はイーサリアムを長く保有していて、売るというよりはむしろ積み立てて増やしてきたものなので、売って減らすのは勇気がいりました。

ーーそのような教訓に至ったのは2017年に大きくできた含み益が2018年で減少した経験が大きいのでしょうか。

そうです。ある程度は売らないと本当に消えるということを身をもって知ったので、今度はそれなりに売ろうというのは決めていました。

ーー私も2回バブルを経験しましたが、売るのが難しいというのは同感です。

1年間、2年間ずっと上がる相場にいるとそうなりますよね。

イーサリアムも2020年に100ドルをつけた後、4,800ドルまで上昇したので。

そうなると下がっても誤差という感覚になってしまいロングし続けてしまいますが、永遠に上がり続ける相場なんてないので、どこかで勇気を持って適切に売ることが重要だと思います。

次のブル相場では証券会社を使った暗号資産のエクスポージャーをとってみたい

ーーもう一度暗号資産の相場が盛り上がった際に、試したいことはありますか。

あくまで主軸としては、イーサリアムをメインで持ちつつ、新しいプロジェクトに種まきし、一定程度はドルを持っておくという以前までの取引を行う予定です。

その上で、これから新NISAも始まりますし、暗号資産関連の株式も充実してきていて、ビットコインETFも承認が近そうなので、証券会社を使って暗号資産のエクスポージャーをとってみたいと考えています。

コインベース株、ビットコインETF、マイニング株など、どれも取引したことがほぼないアセットですが、この辺りは次の相場で試してみたいですね。

ーー試す一番の理由は何でしょうか。

一番はレバレッジがかかることで、特にマイニング企業、コインベースなどはそうです。

マイニング株は、いわゆる定額で行使するコールオプションをたくさん持っているようなもので、ビットコインの価格が倍になれば収益が三倍になるような銘柄です。

コインベースも、ブル相場を迎えて取引数が数倍になっても、オペレーションコストはそれほど連動せず1.5倍ぐらいのもので、レバレッジが効いています。

そういった、現物でありながらも、面白い形のレバレッジが取れる、税制上、暗号資産よりも有利なポジションであるというのが試してみたい理由ですね。

▼2021年5月以降のコインベースの株価

ーー新NISAでは暗号資産関連の株式へも投資できるのでしょうか。

まず前提として、新NISAでは積立投資枠と成長投資枠の2つの枠があります。

積立投資枠はオールカントリーやS&P500などに投資するもので、おそらくビットコインETFは積み立てできません。成長投資枠は、よほど危ない銘柄以外は買える仕組みです。

ビットコインETFが買えるかどうかは分かりませんがコインベース株は買えますね。

インタビュー時点ではドルの10%、20%ほどをイーサリアムに戻し始めた程度で、それほど動かしてはいない

ーー今まで行ってきた手法で今後もメインとしつつ、新しい手法も試すとのことですが、現時点ではどのようなポジションでしょうか。少しずつ仕込んでいる、まだ一切保有していないなど、いかがでしょうか。

いまは、ドルの10%、20%ほどをイーサリアムに戻し始めた程度で、それほど動かしてはいませんね。

面白そうなものがセールをやっていたらチェックしよう、程度です。

ーー利確分の資産はドルで保有されていて結果的に直近のドル高円安で評価益が出たと思いますが、円ではなくドルで保有していたのはなぜだったのでしょうか。

とりあえずステーブルコインにしておこうと考えていたのが理由で、いまのドル高円安を見込んでいたわけではないですね。

たまたま運がよかっただけです。

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全3回のうどん氏のインタビュー、最後の3記事目に続きます。

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