相手はチャートではなく人間。だから自分も成長し続けないと勝てない 4/4

会社員をしながら仮想通貨のトレードを行っている兼業トレーダーのショウ氏。ショウ氏は、市場メカニズムを探求しながら、相場の偏りや歪みに着目したトレードで利益を積み重ねている。トレードはチャートを見て行うものではなく、「無数のトレーダーを相手にした騙しあい」と話すショウ氏に、普段のトレードで気を付けている点や、トレーダーを目指す人へのアドバイスを聞いた。

ショウ氏 プロフィール
国内メーカー会社員。理系の大学院を卒業後に就職。会社では主に新規製品開発のプロジェクトマネジメントに従事。トレード歴は10年以上、直近はビットコインをトレード。プログラミング知識を活かして開発した「突っ込みインジケーター」を開発、一般にも販売し自身のトレードにも活用している。Twitterアカウントは https://twitter.com/SkycloudSpring
インタビュー・編集:内田 誠也
執筆:山本 裕司

インタビュー内容

  • 普段、トレードをする時間は仕事を終えた後ですか。
  • 会社で休み時間などに取引することもあるのですか。
  • トレードの中で心がけていることはありますか。
  • トレードに向いている人は、どういう人だと思いますか。
  • どうしたら自分の判断軸を持てるのでしょうか。
  • トレーダーの中で注目している人や参考にしている人はいますか。
  • トレーダーとして成功するために重要なことはなんでしょうか。
  • これからトレーダーを目指す人にメッセージをお願いします。

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「焦ってついていかない」と心がける

――普段、トレードをする時間は仕事を終えた後ですか。
相場の状況にもよりますし、本業の忙しさにもよりますが、だいたいはデイトレードやスイングが多いですね。仕事があまり忙しくないときには、夜遅くに張り付いて、スキャルピングとまではいきませんが、数十分から数時間くらい持つようなスタイルでトレードをすることもあります。

特にスキャルピング専門とか、デイ専門とかいうわけではなく、そのときの環境とか状況によって変えていくという感じです。

仕事によって週に何日間かやることもあれば、仕事が忙しくて1週間全くしないこともあります。時間に余裕があるときは毎日ですね。今はリモート勤務が中心なので、仕事の合間の休憩時間にやることもあります。

ですから、日中は数時間くらい持って、仕事が終わった後は、夜に張り付いて短めのポジションを持つというパターンが多いですね。

ショウ氏の実際のトレーディング画面

――会社で休み時間などに取引することもあるのですか。
出社する日は、朝の通勤時間とか、仕事の合間など休み時間とかにスマホを見て「今、買ったほうがいいかな」とか「売ったほうがいいかな」みたいなこともありますけど、そういうときは、だいたい後からデータを見直したら、全然駄目だった、ということが多いですよね。

僕はスマホだけを見てエントリーするとだいたいうまくいかないですね(笑)。

僕のスタイルは、いろいろなデータを総合的に見て、歪みを見つけてエントリー、クローズするというのがベースなので、スマホのデータだけでは情報が不足していて、失敗することが多いです。

だけど、兼業トレーダーは、いつでもトレードをできるわけではないから、つい焦ってエントリーしてしまうことが多い。ついついやってしまうんですよね。未だにそれをやって、損をすることがあるので気を付けなくてはいけないと思っています。

――トレードの中で心がけていることはありますか。

やはり「タイミングを逃したときに焦ってついていかない」ということです。

例えば、最近(2022年6月)でのビットコインの値動きであれば、18,000ドルくらいまで下げて、その後、また20,000ドルを超えてきていますが、あのとき、僕はちょっと仕事が忙しくてタイミングを逃しちゃったんです。そこで、18,000ドルから20,000ドルまで上がったときに、「もしかしたら、もう一段上がるのかな」とか思って、ロングでついていっちゃうようなことをしてはいけません。

今は、徐々に下がってきていますけど、20,000ドルを切った後、さらにこのまますぐに大きく落ちていくというイメージを僕は持っていません。

もちろん、全体の相場が変わってくると、判断も違ってくるのですが、現状のままなら、底堅い動きが続いて20,000ドルを切ったら、すぐに戻るような気がします。だから、20,000ドルを切るような局面はチャンスなのですが、本業があるので相場に張り付いているわけにもいかない。

BTCの2022年6月5-6月のチャート。6月に大きく下げ2万ドルを割っている。引用:トレーディングビュー

次のチャンスも必ず取れるという保証はありませんから、兼業トレーダーには、そういう焦りがつきものですよね。でも、タイミングを逃したときも、焦ってついていかないで、次のタイミングを待つ。それを心がけています。

自分の判断軸を信じてトレードする

――トレードに向いている人は、どういう人だと思いますか。

僕も成功していると胸を張って言えるレベルではないので、言ってもいいのかなという気はするのですが……。向いているという人は、まずは自分なりの判断軸を持っていることが前提条件としてあると思います。トレードや相場は、思い通りには絶対動かないものなので。

ロングポジションを持っていたのに、下がり始めたらどうするのか。一時的なマイナスと考えるのか、トレンドが転換したと考えて損切りするのか、という判断をするときに、自分の判断基準となる軸がないとできないと思うんです。

特に誰かのミラートレードとか、みんなが言っているからロングから入ってみただけ、という人はそうですよね。

でも、自分なりの判断軸があれば、「自分が判断したときとは違う環境になっているから、損切りしよう」とか「今は逆の動きになっているけれど、自分の想定から逸脱していないから、もうちょっと持っていようか」などと判断できるわけです。

フォロワーが4桁や5桁のトレーダーが「これは買い」だと言っていようが、ちょっと口の悪いインフルエンサーとかがそのときポジションを持っている人を揶揄するようなことを言っていようとも、そういったことに影響されずに、あくまでも自分の判断軸に従ってトレードできる。そういう人がトレードに向いているのだろうと思います。

――どうしたら自分の判断軸を持てるのでしょうか。
これは試行錯誤しかありませんね。自分で仮説を立てて実際にやってみて、それでうまくいくのか、いかないのか、しっかりとした検証する。それを何回も繰り返して判断軸を作っていくという地道な作業をするしかないと思います。僕は不器用なところもあるので、もっと効率のいいやり方があるのかもしれませんが。

――トレーダーの中で注目している人や参考にしている人はいますか。
実は、あまりいないっていうのが、正直な話で。おそらくトレードスタイルがちょっと違うんですよね。僕と完全に同じところを見ている人は、知っている範囲では、あまりいないと思います。

結構、特殊なことをやっているのかな、とは自分でも思っていて、「ショウの言っていることはよく分からない」と思っている人も結構多いのではないでしょうか。

もちろん、始めたばかりの何も分からなかった頃は、いろいろな人の考え方や手法を参考にして、勉強していました。最近は自分なりの軸ができたので、むしろ、あまり他人のやり方は参考にしないようにしています。

一時期、他人の真似をしてみたこともあるのですが、全然うまくいかなくて、大損してしまったこともありました。自分のトレードスタイルが崩れてしまったんですね。ですから、最近は他人の取引や意見は見ないようにしています。まずは自分の軸をもっと突き詰めていこうと思います。

成長しなければ勝てない

――トレーダーとして成功するために重要なことはなんでしょうか。
先日、漫画家の故・藤子不二雄AさんのYouTubeチャンネル「笑ゥせぇるすまん 公式チャンネル」で「的中屋」というエピソードを見たのですが、トレードに通じるところがあると思いました。

競馬の予想が90%的中する謎のセールスマンと予想を教えてもらう約束をした学生が大金を集めて競馬場に行くのですが、セールスマンは約束の時間になっても来ない。そこで、学生は「少しだけ」と言いながら自分の予想で馬券を買っていくのですが、ちっとも当たらない。ようやくセールスマンがやって来たときには、賭けるお金が無くなっていたという話です。

いくら資金があり、絶対的なチャンスが必ず訪れるといっても、チャンスが来る前に「とりあえず、適当に取れそうなところでエントリーしてみよう」なんて考えは間違っていて、確実に取れるところを取るということが大事。確実に取れるチャンスを待つことが重要なんです。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=GJIKj-Plqe8

同じチャンスでも、自分の感覚的に80%から90%はいけそうだというときもあれば、60か、70%くらいは期待できるだろうというときもあると思います。

勝率が80、90%というチャンスは必ずやってくるはずなのですが、焦りから60、70%のところでポジションを取ってしまい、結局30、40%が現実になって、資金を溶かしてしまうということはありますよね。確率の低いチャンスなら、いったん見送って、確実に取れるところを取る。やはり待つということは重要なことだと思います。

兼業トレーダーだと、どうしても焦りから待てないときがあります。僕の場合は特にそうで、ポジションを取れるタイミングは限られるので、70%ぐらいの期待値なら「持っておくか」と思いがちなんです。今でも、それで大失敗することがあります。

明らかに「これは絶対取れる」と自信があるときは、だいたいその通りの結果になります。それは自分なりに確立した軸を持っていて、自分の基準に合致した状況なので、読み通りにいくんですよ。

――勝っているときは、その基準が曖昧になりがちですよね。
そうですね。ちょっと勝ち続けると「なんか、すげえ、分かってきた気がする。絶対にうまくなったよね。勝負してもいけるんじゃねえの」みたいな気分になることはありますね。

そして「ビットコインで増やしたから、ちょっと、あっちのコインもやってみるか。少しくらい減らしてもいいし」と思いながらトレードすると本当に減らしてしまう。不思議なことに「減らしてもいいや」と思うと、だいたい減らしますよね。

――これからトレーダーを目指す人にメッセージをお願いします。
自戒を込めてですが、学び続けるということですね。

僕らはチャートを相手に戦っているのではなく、チャートの向こう側にいるトレーダーたちと戦っているわけです。自分が勉強しているように、相手のトレーダーたちも勉強したり経験を積んだりしてスキルアップしている。今日は、昨日よりうまくなっているはずなので、自分も昨日よりうまくなってないと勝てるわけがないんです。

でも、チャートだけを見ていると、錯覚してしまうんです。昨日勝ったから、今日も勝てるだろうと錯覚してしまう。でも、相手はチャートではなくて、生きている人間で、人は毎日成長しています。だから自分も成長し続けないと、勝てない。その感覚を忘れずにいてほしいと思います。

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