「APIをコールするだけでLAppsを開発できる環境を提供する」Nayuta Inc. CEO・栗元 憲一氏 1/4

Nayuta Inc. CEOの栗元氏に、Nayutaのマネタイズや今後の事業展開について伺いました。

栗元 憲一氏 プロフィール

先端SoC(SystemOnChip)のアーキテクチャ設計、回路設計、EDAソフトウェアアルゴリズムの研究開発に10年以上取り組む。2011年以降にAndroidとハードウェアを組み合わせたIoT開発を行う。その最中にブロックチェーンとIoTの組み合わせに可能性を感じ、ブロックチェーンの研究を開始。

取材実施日

2023年4月6日

LNのAPI利用環境を提供し、マネタイズを予定

ーーNayuta社ではLNのウォレットを提供されていますが、マネタイズについてはどのような取り組みを考えていますか。

APIをコールするだけでLApps(Lightning Network Application)を作れる開発環境を提供していきます。これが一つのキャッシュポイントになります。

今後はミドルレイヤー的なところがマネタイズポイントになっていくイメージで他のプロダクトも予定されています。

まず最初に大学のゲーム開発サークルが作ったミニゲームにAPIコール部分をつけてサンプルとして提供する予定です。

ーー事業者がAPIを利用する際の利用料がマネタイズポイントになるということでしょうか。

はい、そうです。最初は無料で提供する予定ですが、ユーザー数が増えた時点で有料化する予定です。

通常、LAppsを作ろうと思ったら、LNノードのマネジメントなどプロトコルに詳しい必要がありますが、弊社が提供するAPI環境を利用することでプロトコル知識無しで簡単に作ることができます。

関数を追加するだけで実現できるため利便性が高く、マネタイズポイントの一つになると考えています。

また、LNに関しては様々な取り組みを行っており、toBでは他のプロダクトも予定されています。

公に出していないもので、エンタープライズブロックチェーンの仕事も多数手掛けてきました。

弊社とクライアント、両社にとってプラスになるものであれば、toCに限らずtoB向けのシステム開発にも積極的に取り組みたいと考えています。

ーーtoBについては、LNのプロダクトを簡易的に作れるものをNayuta社で開発し取引所に導入、そして取引所から利用料を得るということでしょうか。

それも一つのパターンだと思っています。入出金できるシステムを開発できないか、といった話もしています。

取引所のLN導入について、関心は持たれているが現実的には困難が多い

ーー国内の取引所ではLNがまだ活用されていません。取引所でLNが利用されればより一層の普及に繋がると予想されますが、栗元さんはどのようにお考えでしょうか。

確かに、取引所がLNに対応しなければ、良いユーザー体験を提供することは難しいのが現状です。

そのため、私たちは他の企業にもLNに積極的に取り組んでほしいと考えており、自分たちもその一翼を担えるように努力していきたいと思っています。

ーー国内の取引所におけるLNの導入に関して、既存の取引所が導入できていない理由について栗元さんはどのように見ていますか。

取引所によって温度差はありますが、LNに関する関心は高く、導入に対して多くの関心が寄せられています。多数存在する今後取り組むテーマの一つと捉えられていると思います。

ただし、取引所は非常に厳しい規制に従わなければならないため、LNを導入するためにはかなりのコストがかかります。

例えば、LNのカストディアルウォレットを提供する場合、トラベルルールに対応する必要がありますし、そのためには業界団体などで取り扱いルールを決める必要があるかもしれません。

ファーストペンギンとしてライセンス事業者がLNを導入することは、かなりの困難が伴うため、現時点では、LNに対する関心はあるものの、導入に至っていない状況にあると考えています。

LNプロダクトの開発はなにが課題なのか

ーー貴社の事業のお話に戻ります。現在、Nayuta社ではAndroidでウォレットをリリースしており、APIの話は具体的な段階にあると思いますが、現時点での課題や今後の課題について教えてください。

LNというプロトコル自体が現在進行中で、大きく変化している側面があります。そのため、APIに限らず、プロダクトを出すこと自体が難しい状況にあります。

ビジネス的、技術的にも課題が多いのが現状です。

LAppsを作ろうとすると、優秀なソフトウェア開発会社でも、ノードを動かし続け、マネジメントし続けることが大きな負担になります。LNの開発について変化をキャッチアップし続ける必要があるためです。

これが、現時点での最大の課題と言えます。

そのため、今後もマネタイズを進めていくためには、壁を下げることが必要です。

例えば、3ヶ月限定のアプリを作るなど、低コストで短期間で試せる方法があるといいですね。そういった方法を取り入れることで、ユーザーにとってもわかりやすく、LNに対する認知度も高まると思います。

ーー貴社のプロダクトの場合、規制を考慮する必要がありますか。

弊社のプロダクトはノンカストディアルなため、ライセンスなしで行うことができます。

先ほどのSDKも、最初はモバイルウォレットのユーザーが何らかのアクションをするときにビットコインを配る機能のみから始めます。

ただ、もしユーザーがアプリの開発会社にビットコインを送金したいとなると、当社がライセンスを求められることがありえるため、さらに追加の開発をおこないライセンス要求されないアーキテクチャ対応をする必要があります。

このような際にはレギュレーションの影響を受けることになります。

価格差が生じている領域はLNの活用でビジネスチャンスがある

ーー冒頭の話に戻ります。貴社のAPI提供により事業者のLNの開発が進むと、一般ユーザーにとって利便性の向上が期待されますが、具体的にどのような用途が進むか見えているものを教えてください。

LN自体も変化していて、レギュレーションも変化しているため、未来の予測は困難です。

その中で言えることでいうと、少額決済が活発になることで、様々な価格差が平均化されることが予想されます。

例えば、アメリカのスタートアップが行っている、フリーランスの仕事を途上国に依頼する事業があります。

国際送金網を使うと送金手数料が数百円かかり、1,000円などの少額の仕事では成立しません。しかしLNならほぼ無料に近い手数料で取引が可能なため、このような取引も可能になります。

このように、価格差が生じている領域はLNの活用でビジネスチャンスがあると予想され、LAppsに大きなチャンスがあると考えています。

LN専業VCについて

ーー非常に興味深く可能性があるお話だと感じました。それと同時に、このような専門的な話はクリプト界隈外の方には伝わりづらいのではと感じました。貴社はVCから資金調達も行っていますが、どのようなコミュニケーションをとっていますか。

私たちは日系のVCとボストンのFulgur Venturesから出資を受けています。

Fulgur VenturesはLNに特化した世界的に有名なVCで、私たちよりもはるかに大きなネットワークを持っています。

彼らは、私たちが説明することに深い理解を持っており、そのため彼らとはこういった事例など完璧に把握した上での議論となりますが、日本のVCはLNの専業VCではないため、細部については話すことはあまりありません。もっと一般的なスタートアップ経営の話が中心になります。

ーーLN特化のVCがあるということを最近知り、細分化されていることに驚きました。

そもそも一般的なVCとクリプトのVCは乖離している傾向があります。それはクリプトの産業構造自体が異なるためです。

クリプトは多様なエコシステムで世の中を変革しようとしているため、そのようなエコシステムが成功すれば自分たちの投資リターンがあるという投資方針を設定するのです。

一方、一般的なVCは、投資した会社が成功するかどうかに焦点を当てます。そのため事業が早く売上を上げることが前提条件になります。

クリプトはエコシステムを構築するための時間が必要で、その時間が長ければ長いほど、成功事例が出ないという状況に陥ることもあります。

そのほか、外部要因に影響されやすい面があり、価格が上がっているときは調達が容易になりますが、下がっていると調達が困難になるなどの問題もあります。

マスアダプションのためにはエコシステム全体が成り立っている必要がありますが、日本ではまだ取引所でLN入出金できないなど、まだ様々な課題が残っています。

そのため、一般的なVCとは異なる考え方を持った、LN専業VCほうがクリプトの投資とマッチしやすい側面はあると思います。

BitcoinベースのLNだけではなく、幅広い事業展開を目指す

ーー2-3年のスパンで貴社が目指していることを教えてください。

ウォレットの開発は継続して行います。

現在、業界全体で取り組んでいるのは、TaroやRGBといったプロトコルの改善や、LNを使ったステーブルコイン環境の実現です。

また、これらのプロトコルがNFTにも対応することで、さらなる事業展開の幅が広がることになるでしょう。

完璧に動くようになるには2年ほどかかると思われますが、Taroについては1年ほどで動き出すことが予想されます。

これにより、BitcoinベースのLNだけでなく、様々な事業への取り組みが可能になるため、弊社も事業の幅を拡げたいと考えています。

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Nayuta 栗元氏のインタビュー、2記事目では「Taroが取り組む、国境を超えた送金のプロトコル化」「送金や決済、APIを含めた送金のマスアダプションの本命は裏側で動くLN」などについて伺います。

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