「ビットコインは2016年に買ってから一度も売っていない」ビットコイナー・赤かぶと氏 1/3

ビットコイナーでLightning Networkのルーティングにも取り組む赤かぶと氏に、ビットコインを売らない理由などについて伺いました。

赤かぶと氏 プロフィール

2016年参入のビットコイナー。2021年からはLightning Networkのルーティングにも取り組む。古参ではありません。

取材実施日

2023年7月21日

慣習に合わず高校や大学を中退

ーーまずは簡単なご経歴について教えてください。

現在は薬剤師として病院で働いています。

これはあえて話しておきたいのですが、ビットコイナーは学校の中退や不登校経験がある人が多いと言われていますが、私自身もご多分に漏れず高専と大学院を中退しています。

特に高専は入学してから10日で退学しました。

入学初日に上級生から呼び出されてタバコや弁当を買いに行かされるのですが、そうした慣習が嫌でたまりませんでした。

高専は勉強するところだと思っていましたし、人の言うことを素直に聞けない性格でもあったので。人に指図されるのが嫌いな性分のようです。

それで寮だったのですが、入学して最初の週末に実家に帰ってもう行きたくないと親に伝え、次の週には辞めました。

大学院では教授が何かにつけて口を挟んできたのが嫌で、修士の卒業直前に辞めましたね。

でも、いま普通に生活できていますから学校に不満があったら行かなくてもいいと子供にも教えています。その代わり勉強は怠るなとも言っています。

2017年の価格の上昇に気持ちがついていけず、鬱やメニエール病を患う

ーーはじめてビットコインを知ったときのことを教えてください。

ビットコインは2011年に技術関連のニュースで知ったのですが、その時は電子マネーと何が違うのか、知識とその設計哲学に追いつかずピンと来ませんでした。

2012年頃にFXを始めてMT4を使っていたのですが、突然、ビットコインが取り扱われるようになりました。

これまで個人間でひっそりと取引されていたビットコインが大手企業の銘柄のように扱われているのを見て、これは成長する、と直感めいたものを感じました。

ただ、この頃はテクニカル分析の師匠の教えを忠実に守るために直感では行動しないと決めていたので「BTCは以前知った時より成長したな」と思った程度で深く考えもせず、取引もしませんでした。

ーービットコインをはじめて購入したときのことについて教えてください。

はじめて購入したのは2016年の7月頃で、知り合いから勧められるがままにビットコインやイーサリアム、そのほかアルトコインを少し買いました。

その時のビットコインはまだ6万円しないくらいでした。

基本的にはとりあえず試すタイプで、それでとりあえず買ってみたら、意外と面白かった。国の介入なく、個人間での取引が可能なビットコインは新鮮でした。

そして、2017年に入ってビットコインの価格が一気に上昇し、ゴールデンウィーク明けには価格が急上昇。

価格が上がったことは嬉しかったんですが、異常とも言える資産価格の上昇に気持ちがついていけず、軽度の鬱となり、トイレに行く回数が異常に増え、食欲もなくなり、人の話がうまく聞こえなくなりました。

その後、突発性難聴とメニエール病で病院に入院しました。

▼2017年のBTC/USDの価格。1月の1,000ドルから12月の約19,000ドルまで最大で19倍まで価格が上昇している。

ーービットコインの価格が上がったら嬉しいものだと思うのですが、なぜ鬱や突発性難聴などになってしまったのでしょうか。

それまで株でスイングトレードをやっていたのですが資産はコツコツと増えていくのが普通だと思っていたので、急激な値上がりに耐えられなかったのだと思います。

こうも簡単に資産が増えていいものなのか、と疑問や自分の資産へ疑いをもっていました。

なぜ2016年から一度もビットコインを売らなかったのか

ーー2016年7月に初めてビットコインを買ったとき、どのような点に興味を持ったのですか。

分散とか最初はあまり興味なくて、ただ、国を介さずに価値の交換ができるっていうのが新鮮で面白いなと思っただけなんです。

本質的な部分に気づくまでは結構時間がかかりました。

ーービットコインは一度も売ったことないとお聞きしました。

はい、一度も売ったことがないですね。

ーービットコインは2021年には700万円を超えました。赤かぶとさんの買値から大きく上昇しましたが、売らずに持ち続けられたのはなぜでしょうか。

2017年の異常な値上がりから2018年に暴落した際、次の半減期が来たらまた何か起きるだろうと思ったんです。

このサイクルがあと何回続くのかわからないし、価格が頭打ちになるまで売る必要もないなって思って一切売らなかったんですね。

この時は特別にお金が必要な事由もありませんでしたし、2017年夏に鬱になったおかげでBTCの価格に対して他人事のような目で見れるようになったのも大きいです。

なので次の2024年、2025年でまた暴騰したとしても、絶対に売りません。このまま死ぬまでHODLするんじゃないかと思います。

ーー物欲はないのですか。

物欲もないですし、未だに牛丼屋で並か大盛りかで悩んで並を注文するくらいです。

ビットコインを買った当初は100万円まで上がったら売ろうと思っていたんですが、結局、HODLしたままです。

いま40代ですが、もしいま30歳ぐらいだったら、出金して色々なものを買ったかもしれません。

でも、今は特に欲しいものがなくて、年を取ったと感じます。

物欲以前の問題でビットコイナーには同じような発想の人が多い印象です。

知的好奇心で民俗学や宗教学、FXを学ぶ

ーービットコインを買う以前に株式などのスイングトレードをやっていたとのことですが、これは資産を増やしたくてはじめたのでしょうか。

最初はお金欲しさと知的好奇心の半々ですね。

昔から好奇心が強く、本業の薬学の分野以外にも民俗学や社会学、宗教学など、いろいろな本を買っては一人で勉強していました。

そんな時にFXの存在を知り、テクニカル分析の話を聞いて、不思議な世界だと思いました。知的好奇心を満たせて、お金も得られるならいいなと思って始めたんですが、案の定、ハマってしまいました。

B2の方眼紙を買って、日足のローソク足やバーチャートを毎日書いていました。

パターンを探して分析するのが楽しくて、そういうコツコツと作業するのが好きなんですね。今でもtradingviewで日経平均1570の日足を毎朝スクショで撮っています。

LNのルーティングなんかも、コツコツやる自分の性格に合っていると感じます。

2018年のビットコインへのメディアの批判も冷静に観察

ーービットコインの真価を理解したのはかなり遅い段階だったと伺いましたが、詳細について教えてください。

2018年にビットコインの価格が下落し、メディアがチューリップバブルだと騒ぎました。

参考:バフェット氏、ビットコインは現代版「チューリップバブル」 2018/05/07  | ロイター

ビットコインの価格がその時の最高値である230万円ほどから100万を切り、70万、50万とどんどん下がっていったんですね。でも価格がゼロにはならなかった。

▼2018年前後のBTC/USDの価格

最高値からは大きく下がったものの、まだ価格がついているし、取引を続けている人もいる。

マウントゴックスの騒動を思い返してみると、2018年の世間の批判は、一時的なものではないかと思いました。

そして次の半減期までに約3年の時間があったので、その間にビットコインって一体何なのか、真剣に見てみようと思いました。2100万枚の発行上限、10分ごとのブロックの生成など、そういう部分を真剣に見てみました。

それで、これは面白いなと。

だから、2017年の異常な価格上昇で精神的に参って結果的によかったと思っています。

中途半端に価格が上がっていたら、多分すべて売ってしまってビットコインと真剣に向き合っていなかったでしょうね。

それと、後から振り返ってみると、当時騒いでいたのは本質をわかっていないメディアで、以前から淡々とビットコインを伝導していた人たちは暴騰前から何も変わりない態度をとっていたのが印象的でした。

ビットコインは淡々と積み上げられ、恣意的なものが一切ない

ーー赤かぶとさんはビットコインのどの部分に特に魅力を感じているのでしょうか。

主体もなくトランザクションが生成され、ブロックがどんどん追加されていくじゃないですか。

OrdinalsのようにNFTが作られようとも、マイニングの手数料やトランザクション手数料が上がろうとも、チェーンが止まらず淡々と10分おきに生成されていくのがすごいな、面白いなって思っているんです。

価格が上がろうがどうなろうと積み上げられていく、恣意的なものが一切ないという特徴がすごく好きなんですよ。極端な言い方ですが、ビットコインは勝手に動いているんですよね。

発行主体がなくて、それがとてもふしぎで魅力的に感じました。

ちなみに、LNの理解と利用を進めるDiamond Handsもその考え、姿勢が似ていると思っています。

Diamond Handsは自立分散的な動きをしている

ーーどういうことでしょうか。

LN普及のために活動をはじめた東晃慈さん、spotlightのyuyaさんが、みんなが好きなようにこのコミュニティを使ってほしいという考えで活動していて。

LNを理解するための学習や勉強の場を提供されていますが、中央集権に寄りすぎないような配慮を感じます。

ビットコインのノードを運用するにはエンジニアリングの知識が必要になるため発言のハードルが高いと感じるメンバーも少なからずいると思いますが、Diamond Handsではそのような空気感が弱いです。

去年、ルーティングのチームをいくつか作ったのですが、その運営方法も非常に自立分散的だったのが印象でした。

チームメンバーの出入りも自由でルーティングの成績も特に問われず、各々のノードでルーティングが発生できるようになるには何が必要かを個々で考える形態でした。

その様子が、とてもビットコイン的だと思いましたし、学校を2回辞めた人間にとっては刺さりました。

人に言われて動くのではなく、自分で行動し自分で責任をとるのが好きな人は合っていると思います。

参考:Diamond Handsコミュニティ|ビットコイン&ライトニング

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全3記事の赤かぶと氏のインタビュー、2記事目に続きます

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