「暗号資産の取引はいま既に富を築いている人よりも持たざる者のほうが向いている」トレーダー・灯篭氏 2/3

トレーダーの灯篭氏に、特にうまくいった取引や暗号資産の取引に向いている人の特徴などについて伺いました。

灯篭氏 プロフィール

2008年に株式トレードをはじめ、2017年より暗号資産に全面的に参入。これまでに150以上のWeb3プロジェクトや企業、DAO等にて様々な活動を行い、2023年3月にはWeb3コミュニティ『Crypto Hiroba』を創設。

Sponsor

仮想通貨トレーダーズクラブ COINRUN

COINRUNは暗号資産の古参トレーダーである、田中さん、ヨーロピアンさんの2名による、暗号資産のトレードによって「まとまった資産を築く」「継続的な収入を得る」「ビットコインを増やす」ことを目的に、様々な有益情報を共有するオンラインコミュニティです。

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取材実施日

2023年11月29日

反社会的な依頼、他人の不幸を利用して利益を得るような依頼の相談を受ける中で、市場全体で避けるべき地雷が見えるようになった

ーー特にうまくいった取引について教えてください。

2008年のリーマンショック禍での日本株への投資、2011年の東日本大震災の際の建築関連株への投資、2017年前半のビットコインへの投資は特にうまくいった取引だと思います。

ビットコインへの投資については、まだ価格がそれほど高くない、比較的早めのタイミングで参入できたことも大きいですが、当初は否定的だったビットコインへの見方を早期に転換できたことも大きかったと思います。

また、「うまくいった取引」ではありませんが、これまでの大規模な取引所の倒産やハッキングに巻き込まれなかった点も良い結果に繋がったと感じています。

ーー事故が多い暗号資産の領域で6年間積極的に取引を行い、大きな事故に遭わなかったのはなぜでしょうか。

市場のルールを深く理解し、濃く情報に触れていたことが大きいと思います。

特に、DeFiはDeFi特有のリスクが数多く存在し、過去にも多くの事故を引き起こしています。実際、2020年前後は年間に何十件もの事故が発生しています。

DeFiやレンディングについて深い理解をしないまま資金を投下するマーケット参加者が多い中、どのような行動が大きなリスクに繋がるのかを理解し、慎重に行動していたことがリスクヘッジに繋がったのだと思います。

また、そういった依頼は拒否し続けていますが、暗号資産に関する反社会的な依頼、他人の不幸を利用して利益を得るような依頼の相談を多数受ける中で、市場全体で避けるべき地雷が見えるようになったというのも大きいと思います。

ブームに引っ張られすぎず、2017年にアルトコインをビットコインに換えておくべきだった

ーー取引における印象的な失敗について教えてください。

2018年のベア相場でビットコインを含め市場全体が暴落したのですが、特にアルトコインの暴落はひどいものでした。私は2017年のアルトコインブームでポジションの多くをアルトコインで保有してしまっており、中には98%下落したものもありました。

円に戻すつもりはなかったので対円での下落については気にしていないのですが、対BTCで大きくポートフォリオを毀損させてしまったのは強く後悔しています。ブームに引っ張られすぎず、2017年にビットコインに換えておくべきでした。

そのほか、$BNBを初期段階で購入していたにも関わらず、その後手放してしまったことも大きな失敗です。たらればではありますが、もしHODLできていたら3桁億円程の価値になっていて、いまでも$BNBの価格を見るたびに暗澹たる気持ちになりますね。

他人任せ、他責な人は暗号資産の取引に向いていない

ーー暗号資産の取引に向いていない人の特徴について教えてください。

暗号資産の領域はまだ勃興期で整備が進んでいないため利用者が保護されず、自己責任を問われるシーンが多々あります。そのため、他人任せの人、他責な人は向いていないと思います。

界隈でよく使われるDYOR(Do Your Own Research)という表現のとおりで、この領域では自分で調べ、自身で真にルールやリスクを理解し、対処できる人でなければ長く生き残り続けることは難しいと思います。

ーー灯篭さんは株式の取引経験も長いですが、暗号資産と比較してもやはりリスクが大きいと感じますか。

上場している株式の場合、東証のフィルターが一定課されていますし、投資先の株が完全に無価値になるということは非常に稀ですが、暗号資産で投資先のトークンが無価値になるというのはそう珍しくありません。

そのほかにも株式と比較してさまざまなリスクが暗号資産にはありますが、この事実だけとっても暗号資産のほうが多分にリスクが大きいと言えると思います。

暗号資産の取引はいま既に富を築いている人よりも持たざる者のほうが向いている

ーー逆に、暗号資産に向いている人の特徴を教えてください。

変化が激しい領域なので、知的好奇心が強く、情報収集に貪欲であり続けられる人は向いていると思います。お金を稼ぎたいというモチベーションは大切ですがその動機だけでは不十分で、強い知的好奇心を持って情報を集め続けられる人でなければ向いていないと思います。

そのほか、暗号資産は自由主義的な思想が強く、多様なプロジェクトが存在し、市場にバイアスがかかりやすいと感じます。そのため、一つの思い込みに囚われすぎてしまう人は事故に遭いやすく、冷静に、客観的に物事を見れる人のほうが向いていると思います。

また、いま既に富を築いている人よりも、持たざる者のほうが向いていると思います。伝統的な金融市場と比較すると依然として市場規模が小さく二桁億円などの大きい金額は動かしづらいですし、個人の場合は総合課税で税制的にも魅力的ではありません。

最低取引金額も株式などと比較して小さく、私がスキャルピングで400円を60万円に増やしたように、知的好奇心をもって多くの時間を投下することができればマーケットにはさまざまな機会が転がっており、持たざる者にとっては向いていると感じます。

明確なエッジ、手法が見つかっていない人はまずは生き残ることを優先したほうがいい

ーー暗号資産の取引で成功するために重要なことについて教えてください。

暗号資産のマーケットはサイクルの推移が早くボラティリティも大きいため、特殊な取引をせずとも、生き残るだけで大きな利益を得られるチャンスがあります。

しかし、よくわかっていないICOや草コインに資金を投下する、高レバレッジでギャンブル的な取引をする、一つのレンディングサービス、プロトコルに多くのエクスポージャー持つなど、リスクの取り方を間違えて資金を溶かし、退場する人が後を絶ちません。

多くの人はアップサイド、つまりリターンにフォーカスしがちですが、暗号資産では同等かそれ以上にダウンサイド、リスクにも十分な注意を払うべきです。

明確なエッジ、手法が見つかっていない場合は下手に取引を広げず、まずは生き残ることを優先したほうが最終的にはうまくいくと思います。

ーー灯篭さん自身がそれほどリスクに注意を払うのはなぜでしょうか。

暗号資産の市場がこれからも急成長を続けると仮定した場合に、早い段階でその成長市場に参入して失敗するシナリオというのは、無闇にリスクをとって資金をすべて溶かしてしまうことだと思うんです。

逆にいうと、生き残ることさえできれば、市場全体の成長にあやかれますし、根気よく情報収集を行えば、DeFiやアビトラ、IEO、エアドロなどリスクが低くても高いリターンを得られる機会というのは少なくありません。

そういった意味で、アップサイドだけでなくリスクにもフォーカスし、必ず生き残れるようなリスクの取り方、取引をすることが大事だと考えています。

ーー実際、身の回りで市場から退場を余儀なくされた方はいらっしゃいますか。

2017年から2018年にかけての納税で失敗した方、秘密鍵の紛失で資産を失った方、FTXショックで資産を減らした方、アルトコインに全資産を投じて価値が急落してしまった方など、全損や全損に近い損失を出した方は私の身の回りでも数えきれないほどいらっしゃいますね。

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灯篭氏の全3回のインタビュー、最後の3記事目に続きます。

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