「イーサリアムのブロックサイズが100倍になることで面白いものができると期待している」クリプトプレイヤー・うどん氏 3/3

2015年から暗号資産に携わるうどん氏に、ご自身のエッジやいま注目している領域などについて伺いました。

うどん氏 プロフィール

2015年からのクリプトプレイヤー。クリプト関連企業を2019年創業に携わり、売却。現在も複数のクリプト関連企業でアドバイザー・リサーチャーとして活動。

Sponsor

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取材実施日

2023年10月19日

イーサリアムのプロト・ダンクシャーディングアップデートに注目

ーーイーサリアムをメインに積み立てるとのことですが、イーサリアムはL2の進捗や対BTCで価格が下がるなど様々な状況の変化があります。総じていまのイーサリアムをどのように見ていますか。

注目しているのは、おそらく2024年1月に行われるL2のアップデートです。これでRollupは結構変わると見ています。

Optimistic Rollupの運営コストはデータを刻むコストなんですよね。

EIP-4844のプロト・ダンクシャーディングが入ることによって100倍などのレベルで、Rollupがスケーラブルになり、面白いアプリケーションができると考えています。

今よりもブロックサイズが100倍大きくなった、それこそ1ブロック10億ガスになった時のブロックチェーンのアプリケーションではこれまでと異なる展開がありそうと考えていて、興味を持っています。

対BTCで価格が下がっていることについては、そもそもここ2、3年は0.05から0.08のレンジ内でずっと動いているので、0.04ぐらいになったら気をつけよう、と考えている程度です。

▼ETH/BTCの2021年後半から2023年のチャート

ーー2021年に大きく上昇してその後下がるだろうと思ったら意外とレンジで、下がりませんでした。

そうなんですよね。前回バブルは2017年に0.15まで上昇し、その後2019年に0.02まで下落しているので、半分も下がってないじゃんと思います。

▼ETH/BTCの2017年から2019年のチャート

なにかしらのユニークさを持つトークンのセールをチェックしている

ーートークンセールはどのようにチェックしているのでしょうか。

Twitterで面白そうなプロジェクトをフォローしていて、それでセールの状況はチェックしています。

コインリストなどもちろん見てはいますが、特定のサイトを見てチェックしているというのはあまりありません。

ーー「面白そうなプロジェクト」はどういう基準でしょうか。

「面白いコンセンサスの取り方をするブロックチェーン」のように、なにかしらのユニークさがあるかを見ていて、「これ聞いたことがある」というプロジェクトはフォローしていません。例えば、Flowもユニークさがありました。

そのほか、バリエーションとトークンの販売価格などです。

それほど力を入れて精査できているわけでもなく、結構感覚で買っていますね。

ーーファンダメンタルズやどこのVCが入っているかなどを見ている人もいますが、その辺りはいかがでしょうか。

参考程度には見ますが、結局何を作るかはホワイトペーパーに表れてきますので、それを見ればいいと考えています。

ーースキャム的なものはどのように判断されていますか。

どこかで見たことあるような、いわゆる量産型の、バブルの後半に出てくるようなプロジェクトは弾いています。

いまのような時期はそういったプロジェクトが少ないのでわかりやすいです。

ーーいま実際に暗号資産に関してインプットしていること、取り組んでいることがあれば教えてください。

最近はツイートはしていませんが、ツイッターはちゃんと見ています。

「このプロジェクトはどんなプロジェクトだろう」と遡ってみることも結構やっています。

オンチェーンでトランザクションを発生させることは最近はあまりしていません。

エアドロ活動をやっているとか、そういったものも特にないですね。

いまの市場はわからない部分が大きいので大きく積み立ててはいない

ーーイーサリアムを主軸で投資していくということでしたが、どのようなタイミングで仕込むなど、考えているものはありますか。

いま20%ほど買っているので、とりあえず目先のポジションとしてはこれでいいと考えています。

コロナショックのような、なにかのショックで大きく急落する可能性もゼロではありませんし、いまの市場は本当に何も分からないので、強く確信を持って大きく積み立てる、とまでは考えていません。

何も分からない部分が大きく、とりあえず20%イーサリアムを買って、ある程度ステーキングして、ドル預金にして、という感じですね。

ーービットコインは来年半減期やETFなどのトピックがありますが、ビットコインは買っていないのでしょうか。

Lightning Networkで遊んだりはしているので数十万円分ぐらいは持っていますが、それほどは保有していませんし、あまり買ってもいません。

イーサリアムのブロックサイズが100倍になることで面白いものができると期待している

ーーいま注目している領域やトークンもしくはプロジェクトはありますか。

このインタビューで触れた、イーサリアムのプロト・ダンクシャーディングのアップデートでOptimistic Rollupの環境が変わり、コストが安くなることに結構注目しています。

ブロックサイズが100倍になった世界は、おそらくみんな体験していないし、それを使ったアプリケーションで面白いものができるという期待、予測があります。それによって可能になることは、多分思いついていないだけでたくさんあると思います。

なので、注目しているのはOptimistic Rollupやそれによって生まれる、いまはない新しい市場です。

ーーいまはまだ話題にしている方が少ない印象です。

ツイートしている人はいるとは思いますが、100倍になることが実際にどういうことになるのかまで想像が及んでいない気がします。

また、手数料が安くなることばかりが注目されていて、逆にブロックサイズを大きくできるかもしれないことに注目する人があまりいないというのもあると思います。

参考:イーサリアム、次期アップグレード「デンクン」とは? | CoinDesk JAPAN

ーーイーサリアムについて、何でもできることに興味を持っているとのことですが、ICPも似た要素があると思いますが、ICPについてはどうお考えでしょうか。

ICPは共有クラウド、共有ウォレットのような概念だと捉えていて、一般の人の参加方法は限定される印象です。

ブロックチェーンの運営側に入る余地が少なく、データセンターにKYCが必要、申請フォームが必要、と参加ハードルが高いので。

ラズパイでも動くバージョンのICPを作るという話を前に聞きましたが、いまは消えてるようで、それが出てきたら面白いなとは考えています。

設計者の意図、ソリューションの意図を解像度高く理解できることがほかのマーケット参加者と比較してのエッジ

ーーうどんさんが他の暗号資産のマーケット参加者と比較してエッジがあるとしたらそれは何でしょうか。

エッジがあるとしたら、これまでいろんなプロジェクトを見たり、暗号資産企業を作った経験から、どういう意図でこのプロダクトを作っているのかなど、設計者の意図、ソリューションの意図を理解しやすいことだと思います。

おそらく、他の人と比べて解像度が高く見えていると思っています。

特に暗号資産ネイティブプロジェクト系は、WhitepaperやProtocol Docs、ブログやToken Disritbutionなどから、こういうことをやりたいというのが結構わかるので、そこはエッジがあると考えてます。

ーー具体的に教えてください。

例えば、何のためにこの仕組みを入れたのかをある程度は推測することができます。

わかりやすい例で言うと、元々、MakerDAOはプロダクトの利用手数料を$MKRで支払わなければならなかったのですが、それを$MKR払いじゃなくて$DAI払いに変更したことがありました。

手数料の回収方法が、$DAIをオークションし$MKRに交換して、その$MKRをバーンするという仕組みになったんです。

この変更意図は、$DAIだけを介することでユーザビリティを良くするというのももちろんあると思いますが、これはMKRを継続的に売れる仕組みなんですよね。

なぜならファウンダーは安い値段で$MKRを仕入れていて、それをオークションにぶつけるなら市場価格よりも安くても全然いいわけですよ。なので、これはファウンダーが定期収入を得る仕組みに変えるための変更、と推測できたりします。

そのほか、例えばこのトークンは、発行するタイミングでこういう人たちに持ってほしいんだなというのがわかることもあります。

逆に、インベスターに対してはこういうスタンスで、初動であまり持って欲しくない。もしくはこういうユーザーに勝たせたい、パブリックセールに参加した人、古くからプロジェクト触ってた人に勝たせたい、などなど、結構気づけることがありますね。

そのため、そういった推測したプロジェクト側の意図をもとに戦略を立てることができる点はエッジになるかなと考えています。

ーーそれができるのはどういった経験があったからでしょうか。

一番大きいのはずっと暗号資産のプロジェクトを見てきたからでしょう。

さまざまなプロジェクトを見てきましたし、いま暗号資産系のコンサルティング企業で働いてもいるので。コンサルする際に他のプロジェクトのことも調べますし、自分たちがこういう意図を持ってやるからこういう設計にしようみたいなものもあるわけですよ。

自分たちも作った経験があるから他の人たちが作りたい意図もわかる、逆もまた然りということです。

ブルやベアのトレンドだけでなく、いまなにが流行っているかを掴むためにもツイッターが向いている

ーー暗号資産でよく見ている、重視している指標を教えてください。

どちらかというとツイッターの空気を見ています。

言語化できないので指標と言われると違いますが、空気感を掴む時にはツイッターが向いていると考えているのでよく見ていますね。

逆に、例えば取引所の出来高などは自己取引したり、何も発生していないのにボリュームを変えたりといろいろな手法で偽造できるので、あまり信用していません。

ーー空気感というのはブルやベアの空気感ということでしょうか。

そうですね、ブルやベアもそうですし、どういうものがいま流行っているのか、エアドロでみんな浮かれているのか、それともETF承認をただただ待ち望んでるだけなのか、など全般ですね。

自分が見ていること、期待していることをみんなツイートするので。

ーー「エアドロが流行っている」がツイッターのタイムラインの雰囲気でわかったとして、それはなんの役に立つのでしょうか。

みんながエアドロファーミングしているということは、簡単に言うと自分は儲からないわけじゃないですか。なぜなら、大量にロットを入れているから。

多くのマーケット参加者がエアドロに期待しすぎていることがわかれば、では自分は追わなくていい、といった判断材料にできます。

ーー本日のインタビューは2023年10月19日ですが、現時点のうどんさんのTwitterのタイムラインはいかがでしょうか。

いまはみんな何にも興味がない、暇な相場あるあるな雰囲気です。

ETFの話題が多いのも、おそらく本当にみんな暇で、それぐらいしか取り上げるネタがないからだと思います。

プロジェクトの追加破綻リスクは織り込まれていない印象

ーーコロナショックやFTXショックなど、様々な暴落を経験されてきたかと思いますが、不確実性に対してどのように対策、ヘッジしていますか。

ドル、円、イーサリアムなど、安心できる量のポジションをそれぞれ持っておくことですね。

そのほか、労働や金利などなんでもいいですが、一定のキャッシュフローを確保しつつ、自分の生活のキャッシュフロー的に問題ない範囲でお金を使うようにしています。

ステーキングも安全そうなものを3つに分散する、ドル預金も3つに分散させる、といった資金の分散も意識的にやっています。

ーーいまマーケットに織り込まれてないだろうリスクはありますか。

追加破綻リスクは織り込まれていない印象です。

FTXショック後に軽く連鎖してブロックファイなどが破綻しましたが、2022年の12月以降は何もない印象があります。しかし暗号資産の市場全体、特にアルトコインからはどんどん資金が抜け続けています。

これだけ資金が抜けると、プロジェクトの破綻など何か影響はあってもおかしくはないと考えています。

楽しんで長く相場に居続ける、売るべきときに適切に売れる勇気を持つ

ーー最後に読者にメッセージをお願いします。

楽しんで長く相場に居続けましょう、売るべきときに適切に売れる勇気を持ちましょう、この2つです。

そしてできれば現実世界でも少しは使ってみましょう、ドルで銀行にお金を置いておくのもあまり悪くないです、というところですね。

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うどん氏のインタビュー、前のインタビューはこちら

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