「暗号資産のマーケットについては強気、現時点での活況はすでに予想を上回っている」HashHub・平野氏 1/3

平野淳也氏のインタビュー時の写真

HashHub・代表の平野淳也氏に、現在の投資スタンスや最近のマーケットについて伺いました。

平野淳也氏 プロフィール

起業家・経営者。株式会社HashHub 代表取締役CEO。学生時代に衣料品・物販事業を創業して譲渡。2013年頃から暗号資産領域へ活動を広げる。個人での投資活動や国内外企業へのコンサルティングを行う。2017年には合同会社d10n Labを創業して暗号資産領域のレポートサービスとしてユーザー数が国内有数の規模に成長する。2018年にHashHubに創業メンバーとして参画して2019年にCEOに就任。Xアカウント:https://twitter.com/junbhirano

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取材実施日

2024年2月2日

最近は市場平均をわずかに上回るリターンを5年で実現できれば十分というスタンスでポートフォリオを構築している

ーー最近のマーケットについてどのように見ているか教えてください。

まずインタビューにお答えさせていただくにあたって、私の投資スタンスを明確にさせてください。

最近は、比較的長期の視点でマーケットを見て投資するようにしていて、5年程度の時間軸でマーケットを見ています。

その上で、現在はハイリスクハイリターンの投資というのはあまり行わず、市場平均をわずかに上回るリターンを5年で実現できれば十分というスタンスでポートフォリオを構築しています。

なので今日の話はどちらかというとやや保守的な見立て、見解になるとは思いますが、それは私の現在の投資スタンスがそうだからであって、それを割り引いた上で記事を読んでいただけるとよいかと思います。

ーー比較的リスクをとらないポートフォリオを構築されているのは、暗号資産の取引をはじめた当初からでしょうか。

例えば、40代やそれより年上、つまり人生の後半で二桁億円以上の資産を保有している場合に、ポートフォリオの過半数を暗号資産で保有するというのは、かなりハイリスクでもっと分散させたほうがよいというのが一般的な見方です。

一方、20代で時間はあるが資産が数百万円以下と限定されている場合、時間をかけてリサーチしながら資産の全額を暗号資産にベットするというのは悪くない戦略だと思います。

私も後者のような、多くのリサーチリソースを割いてハイリスクなポジションをとっていた時期もありますが、年齢や仕事環境など様々な状況が変化する中でより保守的なスタンスに変化していった、というイメージです。

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市場平均を超過するリターンを得ていてもそれ往々にリスクをとっているだけならば必ずしも賢明とは言えない

ーー興味深いです。平野さんの投資スタンスについてもう少し詳しく教えてください。

まず前提として、暗号資産のマーケットではさまざまな収益機会が存在しますが、それらすべての収益機会を完全に捉える必要はないと考えています。

あくまで暗号資産の市場平均、例えば20%とするならそれを一部上回るリターンが得られれば十分であるというのが全体の戦略で、同じ期間に200%の利益を得た投資家がいたとしてもそれを羨みはしない、という考え方で運用しています。

ーーそれはなぜでしょうか。

例えば市場平均が20%の時期に200%のリターンを得た投資家がいた場合、200%というリターンの数字に目が行きがちですが、市場平均を超過した分のリターンの裏ではそれ相応にリスクをとっているはずです。

市場平均の10倍のリターンを得る源泉が、実は市場平均の20倍のリスクをとっていて、そのケースにおいてはたまたまリスクが顕在化しなかったというのは往々にある話で、そういった取引が賢明かと言えばそうではないはずです。

ただ、そういったハイリスクハイリターンの取引を必ずしも否定するわけでもありません。

それが本当の意味でハイリスクかどうかは、マーケット参加者の年齢や資産額などの状況によって変わるでしょう。

私の場合は自身の年齢や仕事の環境、そのほかの条件を加味して現在はそういったスタンスでは取引しておらず、そのためすべての収益機会を積極的にとりにいこうとは考えていない、という意味での回答でした。

このように、やや保守的なスタンスであるという前提で私のこれからのインタビューも読んでいただけるとよいかと思います。

暗号資産のマーケットについては強気、現時点での活況はすでに予想を上回っている

ーー前提となる投資スタンスについて理解しました。ではあらためて最近のマーケットについてどのように見ているのか教えてください。

現在の金融市場全体に対しては、多くのアナリストが強気の姿勢を示しています。

この状況で弱気の立場をとるというのは逆張りのポジションをとるようで不安もあり、確信は持てていませんが、私自身も強気の立場をとっており、実際にも短期的には市場が上昇する方向にポジションをとっています。

暗号資産に関しては強気ではいるものの、2021年の金融緩和相場のような盛り上がりは期待しておらず、金融市場全体と同じ流れにあると考えています。

ーー「暗号資産に関しては強気ではいるものの、2021年の金融緩和相場のような盛り上がりは期待しておらず」なのはなぜでしょうか。

暗号資産のマーケットにおける規制が進み、無制限にコインが売れる時代は終わったこと、これからの1-2年で以前のような未曾有の金融緩和が再び行われる可能性は低く、市場への資金供給が以前ほど強くないであろうというのが理由です。

一方、ビットコインが再び最高値を更新する可能性は高いと考えており、それによってアルトコインのマーケットが再び活気づくシナリオというのも十分に考えられると思います。

いまのところ、現時点で暗号資産のマーケットの活況は、すでに予想を上回っていますね。

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米国のクレジットカードの延滞率の上昇、米国債の買いが弱まることによる長期金利の上昇は気がかり

ーー全体としては強気で見ているとのことですが、短期かつ保守的な目線で見た場合に、今後のマーケットにはどのようなリスクがあると考えられますか。

2023年に発生したシリコンバレーバンク破綻に伴い、暗号資産のマーケット全体が一時的に下落したように、おおよそ1年に一回は「○○ショック」と称される事象が発生しています。

今後1年から2年の間にも、高値から10%以上下落するような事象、ショックというのは往々にしてあるだろうとは思います。

ただ、このようなリスクを除けば、現時点で予想される、それらを上回る非常に大きなリスクはあまりイメージができていません。

一方で、単にイメージができていないだけで、そういったリスクが顕在化してしまった場合の最大損失額もある程度は自分の中で想定しています。

ーー現在、多くのマーケット参加者、アナリストが強気でいますが、今後弱気に転じるシナリオがある場合、どのような要素やリスクが考えられますか。

コロナ禍によるリモートワークへの移行や金利の上昇により、米国の商業不動産価値が約50%も毀損しています。

これにより、商業不動産に貸し付けをしている銀行が潜在的な問題を抱えている可能性があります。ただ、これらは証券化で広く市場に流通しているわけではないため、経済全体に与える影響は限定的だと考えられます。

そのほか、米国のクレジットカードの延滞率の上昇も気になりますし、米国で今後利下げがあったとしても、米国債の買い手が以前より減少し、中国が米国債を購入しない、あるいは保有している米国債を売却する、そしてそれらによって長期金利が上昇するというシナリオは考えられますね。

ただ、現時点において、こういった要素は確かにあるものの、現在のポジションを大幅に現金化するほど経済に深刻なダメージを与えるとは考えていません。潜在的なリスクとして認識しておいた方がいいとは思いますが。

ーー特に注目している指標や数値があれば教えてください。

時期によって変わりますが、ビットコイン、暗号資産はマーケットで金余りが起きた際に資金が流れやすいタイプの金融商品であり、経済全体のマネーサプライと短期および長期金利はよく見ています。

そのほか、先日の承認もあって、ビットコインETFの純資産流入も最近は見ていますね。

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平野淳也氏の全3回のインタビュー、2記事目に続きます

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