HashHub・代表の平野淳也氏に、注目しているプロジェクトやエアドロップの現状について伺いました。
平野淳也氏 プロフィール
起業家・経営者。株式会社HashHub 代表取締役CEO。学生時代に衣料品・物販事業を創業して譲渡。2013年頃から暗号資産領域へ活動を広げる。個人での投資活動や国内外企業へのコンサルティングを行う。2017年には合同会社d10n Labを創業して暗号資産領域のレポートサービスとしてユーザー数が国内有数の規模に成長する。2018年にHashHubに創業メンバーとして参画して2019年にCEOに就任。Xアカウント:https://twitter.com/junbhirano
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取材実施日
2024年2月2日
日本円が先進国の中で最も弱い通貨である状況も、今後5年の時間軸では変わらない真実、トレンド
ーーポジションを構築するにあたってのマーケットの見通しについて、5年と長めの時間軸で見ているのはなぜでしょうか。また、どのような指標を見ていますか。
経済や市場の変化に対して、見通しを立てることができる期間の限界が5年だからで、「5年は変わらないであろう真実、トレンド」を設定してそこから考えていますね。
ーーいま時点で、「5年は変わらないであろう真実、トレンド」にはどのようなものが挙げられますか。
例えば、米国の政策金利について2024年内に利下げが見込まれていますが、より長い時間軸では、以前よりも高い水準を維持することが予想されます。
なぜ長い時間軸において金利が高い水準で維持されるはずかというと、サプライチェーンの再編、SDGsの潮流、中国がグローバルでの安価な労働供給源としての役割を終えたこと、これらを背景とした粘着性が高いインフレーションなどが要因です。
そのほか、日本円が先進国の中で最も弱い通貨である状況も、おそらく今後5年の時間軸では変わらない真実、トレンドでしょう。
マイナス金利政策の解除には時間がかかるでしょうし、利上げできたとしても上げられる余地は非常に限定的で米国ほどの強い引き締めは無理でしょう。
ある意味、日本に住む私たちは世界で最も低い金利で資金を調達できるとも言えますが、同時に多くの課題も抱えています。
さらに、ウクライナ戦争を背景としたロシアに対する米国債の凍結措置など、米国が世界の警察のような行動をとったことで、米国債の信頼性がこれまで以上に低下する可能性があります。
特に、中国が米国債を購入する際の障壁となり、買い圧力が弱まることで金利の上昇圧力に繋がるでしょう。
これまで誰もが信頼していた米国債に対して疑問符がつき、ビットコインなどの代替投資への関心を高める一因にもなり得ると思います。
「5年は変わらないであろう真実、トレンド」を考えるにあたって影響を受けた書籍
ーー「5年は変わらないであろう真実、トレンド」を考えるにあたって、影響を受けた書籍やメディアがあれば教えてください。
『MEGATHREATS 世界経済を破滅させる10の巨大な脅威 』は面白かったです。
気候変動や米国の過剰債務におけるリスクが金融市場にどのように影響を及ぼすのか、そして米国債に対して疑問を持つことの重要性について考えさせられました。
『人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小』も非常に興味深く、今後5年間の展望やアイディアが詳細に組み込まれていました。
現在は強気の市場観測をしているなかで、潜在的なリスクを考慮する上で非常に参考になると思います。経済や社会の動向を広い視野で捉える際に役立つ内容が多く含まれている本です。
1,2年の時間軸で言えば、イーサリアムが依然として強いアセットである
ーー経済や金融市場全体における「5年は変わらないであろう真実、トレンド」について伺いましたが、暗号資産においてはいかがでしょうか。
暗号資産は変化が激しすぎて5年の時間軸だと言えることは少ないですね。強いて言えば、ビットコインが未だに過小評価されている、くらいでしょうか。
少し短くして、例えば1年から2年の時間軸で言えば、イーサリアムがすごく強いアセットであるということは言えると思います。
ETFに承認され、デジタルゴールドとしての地位をさらに高めたビットコインに対してアウトパフォームしていくかというのはわかりませんが、イーサリアムが今後も注目すべき強いアセットであるというのは間違いないと思います。
ーービットコインのETF承認については賛否いろんな意見が挙がっていますが、2014年からビットコインを見ている平野さんとしてはどのように見ていますか。
賛否どちらの考えも理解していますが、もともと時間の問題だろうとは考えていたため、ついにその時が来たな、と思っています。
ETF承認により年金基金や中央銀行の資金が流入する可能性を得たというのはアセットとして重要な意味を持ちます。
これによりビットコインの地位は確実に向上していくでしょうし、ビットコインの広いエコシステムに参加する小規模なステークホルダーとしては、いいことだと捉えています。
どれだけL2で経済活動が盛んになっても、最終的にはイーサリアムを使用することになりイーサリアムの重要性は変わらない
ーーイーサリアムの話が挙がりましたので、イーサリアムについて今後1年で特に注目すべき点について教えてください。
最近の経済活動の多くはLayer2へと移行しており、乱立も見られますが、これら全ての基盤となっているのがイーサリアムです。
そして、L2のオペレーターがデータをプッシュするために、イーサリアムに対して高額なガス代を支払うことは避けられません。
そのため、どれだけL2で経済活動が盛んになっても、最終的にはイーサリアムを使用することになります。
一時期、L2で経済圏が作れたプロジェクトはイーサリアムを抜ける可能性が指摘されていました。しかし、ブリッジの接続性などの技術的な側面を考慮すれば、L2が独自の経済圏を形成しイーサリアムから抜けていくシナリオというのは、現在時点では実現性は非常に低いと言えるでしょう。
また、L2のオペレーションをビジネスとして考えた場合に、ガス代の支払いが独自トークン建てだったとしても、L1への費用はイーサリアム建てで支払うことになります。つまり常に為替差が発生するような状態になってしまい、L2オペレーターは基本的にこれをやりません。だからETHはL2でも使われ続ける。
このように、今後もL2エコシステム内で最も重要、使用されるトークンはイーサリアムであり、使われ続ければバーンも進みますし、ステーキングによってロックされるイーサリアムもあるわけで、今後もイーサリアムが注目すべき重要なプロジェクトの一つであるというのは確信を持って言えると思います。
なぜ、ArbitrumやOptimismの強さは際立っているのか
ーーイーサリアム以外で特に注目しているアルトコインのプロジェクトについて教えてください。
L2関連のプロジェクトに注目していて、特にArbitrum、Optimismは見ています。いずれも技術的な強さや将来性の点において非常に強いポテンシャルをもっていると考えています。
ーーArbitrumやOptimismに注目している理由を教えてください。
前提として、L2を作ることが非常に容易になっている現状は、2017年頃に見られた草コイン取引所の乱立を彷彿とさせます。
当時は誰もが草コイン取引所を容易に作れる時代でしたが、今ではそれはL2です。
ArbitrumやOptimismはそれらL2ソリューションの基盤技術やツール、オープンソースソフトウェアすべての裏側に存在していて、これらの基盤上で構築されたL2に対するライセンスフィーやL2チェーンのレベニューシェアなどで収益を得ているんですね。
ゴールドラッシュ時におけるツルハシ売りみたいなもので、L2が盛り上がる環境が出来上がる中で、L2が盛り上がるほどこれらのプロジェクトが収益を得られる仕組みになっていて、ArbitrumやOptimismは強さが際立っていると思いますね。
参考:2024年のEthereumの発展・レイヤー2環境の動向に関する論考 | HashHub Research
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全3回の平野淳也氏のインタビュー、最後の3記事目に続きます
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