「Googleは検索エンジンではなくAdWordsの発明で儲かったというのがより本質をついた評価」個人投資家・九条氏 4/5

九条氏に、投資で成功するために重要だと思うことやGoogleへの投資について伺いました。

九条氏 プロフィール

2018年FIRE済み。米国株、クリプト、優待クロス、太陽光、不動産、オプションなどなどを行うインデックス投資家でリバタリアン 。ポイ活、クレカ活用なども。ブログ「FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

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取材実施日

2023年4月7日

投資で成功するためには、楽しさではなく資産を増やすためにどうすればいいのかに向き合うべき

ーー投資で成功するためになにが重要だと思いますか。

よく「楽しく投資しましょう」「投資の楽しさを知ってほしい」と言う人がいますが、私は投資自体は楽しむことではなく、あくまで資産を増やすための方法のひとつでしかないと思うんですね。

「楽しむことが目的」「損することもあるけど楽しかったよね」をやりたいのであれば、投資ではなく公営ギャンブルをやればいいと思うのです。

それはそれでレジャーとしていいと思うのですが、投資で成功するためには楽しさではなく資産を増やすためにどうすればいいのか、ということに向き合うべきだと思います。

よく言われますが、良い投資はつまらないものなんです。

わくわくもどきどきもしないけど、気づいたら資産が増えている。

実際にエビデンスも出ていますが、気になって調べて、売ったり買ったり、調整をすればするほどパフォーマンスが悪くなるというのは、いろんな投資において言えるもので、つまらない投資法を見つけることが大事かなと思います。

ーー九条さんの投資も振り返るとうまくいった投資はつまらない投資ばかりだったのでしょうか。

クリプトは売買もしましたが、ホールドが一番いい、というのがいまの結論です。

レンディング、流動性ファーミングといろいろやりましたが、BlockFiのチャプター11、FTXの破綻を見ると自分のコールドウォレットでガチホが正解だと思います。

年利8%で全損するリスクは割に合わないですし。

暗号資産は雑所得であることが酷評されているが悪い点ばかりではない

ーー年利8%だと10年に1回でも全損になれば期待値がマイナスになりますが、ハッキングや破綻のイベントは10年に1回以上ありますよね。

そうなんです。

10年に1回どころか3年に1回ぐらいあるので年利8%では全然見合わない。

ステーブルコインですらそうで、元本のボラティリティがあるコインだと年利20%を得てもリスクが大きいと思いますね。

ーークリプトについて、2021年にすごく盛り上がった際にも売らなかったのでしょうか。

税金をあまり払いたくないので、経費で利益をカバーできる分しか売っていません。

クリプトの最大のコストは税金です。長くやっている人であれば2021年に100万円分を売ったらほとんどが利益となって税金が発生したはずです。

これは決して安くありません。

ちなみに、界隈で雑所得であることが酷評されていますが、雑所得も悪い点ばかりではありません。

雑所得の良いところは他の雑所得とは通算ができる点で、雑所得のビジネスを他にもいろいろ持っておくと通算できるのでクリプトの運用においてすごく効果的です。

税金は確実に効果を出せる部類の取り組みなので、こういったことを真剣に考え学習しておくのはとても重要だと考えています。

Googleやビットコインへの投資は「上がるべくして上がった」ので高揚感はない

ーーうまくいった印象的な取引について教えてください。

自分の取引を振り返ると、印象に残っている取引は価格の上下に一喜一憂したギャンブルチックな取引が多いのですが、成功した投資はもっと平和的でわくわくもせず退屈な取引が多いです。

例えば、Google、Amazon、Facebook、ビットコイン、イーサリアムへの投資は10倍以上のリターンを生み、僕の投資の中では成功した部類に入ります。

しかし、それぞれが10倍のリターンを生むプロセスで特にわくわくすることはなく、所有していることを忘れるほどでした。

上がるべくして上がった、思ったとおりになった、という感覚に近く、高揚感はありませんね。

成功すると思える企業や業界については、ずっとホールドし続けることが成功の鍵だと考えており、「気づいたら値上がりしていて驚く」ぐらいのスタンスが一番いいのかなと思います。

ーーテスラへの投資と温度感に差がありますが、それはなぜでしょうか。

リターンの程度は問題ではなく、将来性を信じられたかどうかの差だと思います。

Googleへの投資は、最初からいままでずっと信じられていたので高揚感もなかったのかなと思います。

Googleは信じきれたがテスラ、イーロン・マスクは信じきれなかった理由

ーーGoogleは信じられて、テスラは信じられなかった、その差はなんでしょうか。

なんなのでしょう、僕もよくわかっていません。

ただ、赤字の企業に対して投資判断をする場合、ファンダメンタルズを掘り下げるよりビジネスモデルといま作られているプロダクトがどれぐらい良いものなのかを見るほうが大事だと思うんです。

それでいうと、テスラはイーロン・マスクを信じきれなかったのかもしれません。

いまもそうですが、当時から何するか分からない、やばい人という印象があります。

天才だし非常にドラスティックなことをやってくれるんですが、本当にとんでもないことをしでかしそうな人。良い方に振れる時もあれば、やばい方に振れる時もある。

Googleは王道なんですね。上場以後もあまり変なことをしていない。まともな経営者がまともに経営している。

イーロン・マスクはやばいですね。

リーマンショックで株価が下がった際にGoogleへ投資

ーーGoogle、Amazonへの投資をはじめたのはいつでしょうか。

Googleは2008年です。多くの人がこれからの時代はITだと考えていた時期で、そのITの分野でトップにいたのがAmazonとGoogleでした。

それで、その二社に投資をしました。

ーー2008年といえばリーマンショックで相場環境は厳しい状況だったと思いますが、そのようなタイミングで投資することに不安はなかったのでしょうか。

Googleは2008年のリーマンショックの時に株価が半分以下にまで下がったんですが、倒産するような状況でもありませんでした。

将来に向けて成長が期待できる会社がショックで下がっているときは買い時と考えていたので、むしろ下がったところで買いましたね。

GoogleはAdWordsの発明で儲かったというのがより本質をついた評価

ーーChatGPTの登場によりGoogle検索の利用が減ると危ぶむ声もありますが、どのように見ていますか。

Googleは最初に検索エンジンを作った会社ではなく、既に様々な会社があった中で、最後に検索エンジンを作ってトップに立った会社です。

Googleの評価については様々なものがありますが、Googleは検索エンジンで儲かったというよりAdWordsの発明で儲かった、というのがより本質をついた評価だと考えています。

検索連動広告はOvertureも行っていましたが、Googleが大規模に実装して一気に売上を作れるようにしたのです。

検索エンジンが優れていたのも事実ですが、事業的にうまくいったのは検索連動広告をうまく実装できたからでしょう。

つまり、OpenAIがAIに関して高い技術力を持っていることは事実ですが、技術力だけがビジネス的な成功につながるわけではなく、それをどうマネタイズするかや現在抱えているユーザーの数なども重要だということです。

GoogleはGmailなどオープンになっていない大量のデータを保有している点でAI開発では有利である

ーーすると、ChatGPTが便利だからイコールでそのほかサービスがディスラプトされるという単純な話ではないということですね。

過去数十年のテクノロジーの流れを見ると、GAFAに対抗する会社は多数登場しましたが、テクノロジー的にGAFAよりも優れていたにもかかわらず、GAFAがそれらを潰したり、買収しているケースが山のようにあります。

そういった事例を踏まえると、OpenAIが技術的に優れているイコールでGoogleが終わるという予想は短絡的と言えます。

OpenAIの技術力は優れていますが、AIの差別化にはデータが重要であり、OpenAIはインターネット上に公開されているデータしか学習の素材にできません。

一方で、Googleは昔からこの分野に投資をしており、Gmailなど世の中にオープンになっていない大量の貴重なデータを保有しています。

MetaはFacebookやMessengerのデータにアクセスできますし、私の代わりに私そっくりの文章が書けるAIを作らせるなら筆頭に上がるのはMetaでしょう。

このように、アクセスできるデータというのは、AIの開発において重要な要素の一つなんです。

AI開発では膨大なハードウェアリソースを保有できているかも重要な要素

ーーアクセスできるデータ以外にAIの開発競争において重要になる要素はどのようなものがありますか。

AIを実際に実行するためにはハードウェアの性能も必要です。

OpenAIでもGPT-4を動かすためには膨大なハードウェアリソースが必要ですが、クラウド上で行うと非常に高額になります。

そのため、ハードウェアを持ちAIの動作に必要なリソースを持っている会社しか、AIの開発に取り組むことができません。

OpenAIもMicrosoftから出資を受ける前は、資金不足で苦しんでいたという話です。

日本企業もそういった要因によりAIの開発に対して苦戦しているようです。

最終的にAI競争で勝つにはデータと計算機リソースを持っている会社が最も強いことは明らかです。

OpenAIが勝利する可能性はあるものの、GoogleやMetaの方が有望と言えるのではないでしょうか。

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九条氏のインタビュー、最後の5記事目では「VIXの突然の高騰で投下資金の98%を失う」「日本の長期金利は上がらざるを得ないはず」などについて伺います。

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