一人のユーザーとして性能の良さを実感しCPUメーカーのAMDに投資 ビットコイナー・びりある氏 2/3

ビットコイナーのびりある氏に、投資を始めたきっかけや現在の投資について伺いました。

びりある氏 プロフィール

東京大学理学部物理学科、同大大学院総合文化研究科修士課程修了 (物理学)。2013年末頃からビットコインの技術に興味を持ち始め、暗号資産 (仮想通貨) に関連したウェブサービスを多数開発。仮想通貨交換業者向けウォレットベンチャーの立ち上げ、仮想通貨支払いのできるECプラットフォーム、マイニングプール、交換所など多数の事業を行ってきた。現在は DeFi 特化の月額課金制メディア「DeFIRE (https://defire.jp/)」の運営や国内での大規模マイニングを手掛けている。Twitterアカウントは https://twitter.com/visvirial

Sponsor

仮想通貨トレーダーズクラブ COINRUN

COINRUNは暗号資産の古参トレーダーである、田中さん、ヨーロピアンさんの2名による、暗号資産のトレードによって「まとまった資産を築く」「継続的な収入を得る」「ビットコインを増やす」ことを目的に、様々な有益情報を共有するオンラインコミュニティです。

会員限定のトレード番組やチャットコミュニティ、月20回程度のレポート配信が利用・閲覧可能になります。

→サービスについてもっと詳しく知りたい方はこちらををご覧ください。

取材実施日

2023年7月3日

投資対象ではなく技術に興味を持ち2013年よりビットコインに携わる

ーー投資をはじめたときのことについて教えてください。

2011年、大学院生だった頃に単純な投資への興味でFXの口座を作ったのが最初で、学生でお金もなく資金は10万でした。

特に儲からず損もせず、それならバイトをする方がよいと考え、それほどのめり込まず手を引きました。投資に興味を持ったのはそこからです。

ーービットコインに投資するようになったのはいつからでしょうか。

ビットコインを初めて知ったのは2013年末頃ですが、投資対象としてではなく純粋に技術に興味を持ちました。それでビットコインを使ったサービスを作りたいと思い、携わる中で自然と保有し結果的にリターンを得られました。

そのため投資として意図してリターンを得たというのは少しニュアンスが異なるかもしれません。

ーーびりあるさんがビットコインを買い始めたのはいつ頃からでしょうか。

ちょうどマウントゴックスが倒産した頃でしたね。当時、1BTCが約50,000円から100,000円だったので、現在の約400万から考えれば40倍から80倍のリターンという計算になります。

もっともマウントゴックスで購入したビットコインは再生債券となっており、いくらくらい返ってくるか分かりませんが笑

▼2013年から取材時までのビットコイン/USDのチャート

税制を考慮しビットコインを一部売却し株式で運用

ーー株式投資はいつから始めたのでしょうか。

2016年頃から投資信託を購入し始め、2017年頃から日本株も購入しています。

ただ始めは元手が少なく、本格的に資金を入れ始めたのはビットコインのリターンの一部を株式投資に回しはじめた、2021年6月頃からですね。それからいま2年ぐらいなので、割と最近です。

ビットコインは2021年から毎年少しずつ利確し、その資金を株式投資にあてています。

ーービットコインについて毎年一部を利確しているのはなぜでしょうか。

まず、毎年分散しての売却となっているのは、売却額が役員報酬と合わせて年間900万円を超えると税率が大幅に上がってしまうためですね。

それでビットコイナーなのになぜ利確しているかというと、ビットコインがあまりにも上昇してしまい、私の資産の90%以上を占めてしまっているためです。

アセットアロケーションの観点からのリバランスです。

ビットコインは埋蔵量が限られた一種のコモディティとしての希少性から資産価値を保ち続けるはず

ーービットコインに対して否定的な見解を持ちはじめたわけではなく、他の資産への分散としての利確ということですね。

その通りです。

ビットコイン自体の成長はまだまだこれからでしょう。

米国のSECによる規制が強まっている現状ではありますが、長期的に価値を保ち続けられる資産は金と土地、そしてビットコインぐらいではないでしょうか。

ビットコインは登場してから15年ほどしか経っておらず歴史が浅いためまだ安定はしていませんが、ETFなど金融市場との融合が進んでいることを考えると、これからますます多くの投資家がビットコインを資産として認識し、ポートフォリオに組み込まれていくでしょう。

ビットコインはよく言われているように「デジタル・ゴールド」であり、ゴールドなどの貴金属と同様に埋蔵量が限られた一種のコモディティとしてその希少性から資産価値を保ち続けると考えています。

そのため、一部利確はしているものの、ビットコインの将来については引き続きポジティブに見ています。

ビットコイン以外では現物株の長期投資を中心に取引

ーー現在はどのような投資を行っていますか。

私の投資は基本的に現物株の長期投資です。一度株を購入するとほとんど売らないというスタンスを取っています。

もちろん、戦略が間違っていたと感じたらすぐに売却することもありますが、大枠としては長期保有を心がけています。最も長い期間保有している銘柄は2017年から保有しているもので、今年で6年になります。

ーー売却については価格目標や出口戦略を特に設定せず、長期的に保有し続けるという考え方が基本という理解でよろしいですか。

その通りです。出口戦略はありません。買ったらガチホです。

ーーウォーレン・バフェット氏の投資スタイルと近いと感じました。

そうでしょうか。バフェット氏は結構売ってますよ。アメリカンエキスプレスなど長期間保有しているものもありますが、5年ほどでの売却も珍しくありません。

最近ではTSMCの株も売却して話題になりましたよね。

参考:バフェット氏率いる米バークシャー、TSMC株を全て売却

これからもインデックスを買えば年平均8%の利益が出るかどうかはわからない

ーーインデックスについても取引されているとのことで、どのように取引していますか。

私が保有しているインデックスは、ヴァンガード・トータル・ストック・マーケットETF (VTI)ですが、全投資額に対してはごく一部に過ぎません。インデックスを上回るパフォーマンスを目指しているので、あくまで主力は個別株です。

また、インデックス投資が非常に流行していたこともあり、逆に市場が大きく下がるサインではないかと感じたこともあります。そのため、インデックス投資にはそれほど力を入れていません。

ーー厚切りジェイソンやリベラルアーツ大学の両学長などの影響でインデックス投資を始めた人が多い印象です。

そうですね。米国経済は過去70年にわたりずっと成長してきており、その歴史を見ると、米国株のインデックス投資は有力な選択肢の一つだと言えるでしょう。

しかし、これから米国経済が下降する可能性もゼロではありません。

投資初心者に対してインデックス投資を推奨する人も多いですが、米国の経済状況やファンダメンタルズを適切に分析できなければ、インデックス投資クラスタの大半が大損するという事態も十分にあり得ます。

また、中国との経済戦争が続く中で、中国が成長して米国が後退するという可能性も否定できません。台湾問題が軍事的な衝突に発展したならば、変数が多すぎてその先で何が起こるかはもはや誰にも予想できません。

そういった状況を見極めて適切に取引できるかどうかが、インデックス投資を始める最低条件だと考えています。ただインデックスを買えばこれまで通り年平均8%の利益が出るというのは過去の話で、これからのことがどうなるかはわかりません。

ーーこれから高金利の時代が来ると、これまでと同じペースで上昇し続けるとは限らないという見方もあります。

いずれにせよ、金融引き締めも終わる日が来ると見ています。金利5%は経済への負担が大きすぎて継続できないでしょう。

短期での取引に失敗し、長期投資にシフトする

ーー2017年に個別株の取引を始めた当初から現在のスタイルだったのでしょうか。

そのとおりです。FXや暗号資産でデイトレードやスイングをやっていた時期もありますが、短期での取引は私には向いていなかったようで、損失を出してしまいました。

短期での取引から長期投資に切り替えてからはずっと勝っています。例えばビットコインは、40倍から80倍の価格上昇を達成しています。

株についても、2021年の含み益は2022年の下落で消えてしまいましたが、2023年に入ってからは日経平均がバブル後最高値を更新したこともあって、順調に増えています。

ーー成功した投資について教えてください。

ビットコインは大きな成功を収めました。個別株もほとんど全てが利益を出しています。損失を出している銘柄はほんの数点、損失額も数万円程度です。

ーー特に取引がうまくいったと感じる銘柄はありますか。

味の素とインターネットイニシアティブ、アニメ会社のIGポート、バンダイナムコホールディングスは価格が2倍以上に上昇しました。カプコンは1.8倍です。

一方で、アメリカの株価はそれほど上昇していませんね。これは金融引き締めの影響が大きいでしょう。

好きだから応援したくなるし、会社のオーナーになるのも面白いと感じられる

ーー印象的な失敗した取引はありますか。

株に関しては失敗したと感じるものはほとんどありません。

ーー短期間ですぐに売却した株があったとのことですが、その要因は何だったのでしょうか。

単にSNSの雰囲気に流されて買ってしまった銘柄で、特にその企業や製品が好きではなかったんですね。それに気づいてからはすぐに売却してしまいました。

好きだから応援したくなりますし、会社のオーナーになるのも面白いと感じられます。その企業や製品が好きかどうかというのは、投資において重要な要素だと考えています。

ーーではいま保有している銘柄で特に好きなのはどの企業でしょうか。

2020年から投資を始めた、AMDです。

私のポートフォリオはだいたいどの銘柄も同じ金額になるように投資していますが、AMDだけは他の銘柄の3倍ほど投資しています。

一人のユーザーとして性能の良さを実感しCPUメーカーのAMDに投資

ーーAMDの特にどういった点が好きなのでしょうか。

私は自作PCが好きでよく自分でパソコンを組み立てるのですが、その中でAMDの製品に触れる機会がありました。

CPUは以前はIntelが最強でAMDはその廉価版という位置づけでしたが、AMDのRyzenシリーズはIntelのCPUと比較しても遜色なく、場合によってはIntelを上回る性能を発揮するようになったんですね。

それで私もIntelのCPUをずっと使っていましたがAMDのCPUを使用するようになり、AMDいいなと思い始めたんですね。実際、AMDの時価総額もIntelを超えたので、市場からの評価も織り込まれてきているかなとは考えています。

ーーびりあるさんのnoteを拝見しました。各投資先に対してとても知見が深いようですが、どのようにリサーチしているのでしょうか。

投資のためにすごくリサーチに時間をつかっているわけではないんですね。

たまたま使った製品が良かったり、ニュースを見て興味が湧いたら調べるという感じで、それで投資としても魅力的であれば結果的に投資に繋げる、というイメージです。

参考:保有銘柄(ポートフォリオ)紹介|note

市場の成長やNAS電池への期待で日本ガイシに投資

ーー投資先の中で、特にこのサービスが素晴らしいと感じている企業について教えてください。

最近エントリーしたものでは日本ガイシですね。

日本ガイシは電線と電柱の間の絶縁装置(碍子)を製造している企業なのですが、それ以外にもNAS電池という大規模産業向けの蓄電ソリューションを提供しています。

太陽光発電などの多くの再生可能エネルギーは発電量が不安定なため、今後発電量が増えるとそのような蓄電ソリューションが必要になるはずです。

その市場の伸びに期待して投資した企業です。

参考:日本ガイシ株式会社

ーー日本ガイシについてリサーチを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

太陽光の発電所を作る関係で、発電方法や太陽光発電の産業構造などについて調べる中で日本ガイシを知り、良い投資先だと感じたのがきっかけです。

ただ、日本ガイシのNAS電池事業自体はまだ赤字で、事業として成立しているとは言えない段階です。

日本ガイシの売上が今後絶対伸びるかどうかはわかりませんが、世界で最も高い技術力を持つ会社であること、そして新たな事業であるNAS電池への期待で投資しています。

ーーーーー

びりある氏が取り組みDeFi 特化の月額課金制メディア「DeFIRE」はこちら

DeFiでFIREを目指すサロン – DeFIRE

ーーーーー

びりある氏の全3回のインタビュー、最後の3記事目に続きます。

前のインタビューはこちら

────────────────────

バーリ・マーケット・リサーチの公式LINEでは、ここでしか見れない「資産/収支管理シート」や「インタビューの録画」を公開しています。ぜひご登録ください。

公式LINE登録はこちら

────────────────────

この記事を読んだ方はこちらの記事もおすすめです