「起業はいわば未上場企業に投資する行為であり、成功した際のリターンは大きいがリスクも非常に大きい」ビットコイナー・びりある氏 1/3

ビットコイナーのびりある氏に、投資に向いている人や資産形成するために起業と投資のどちらがよいのか、などについて伺いました。

びりある氏 プロフィール

東京大学理学部物理学科、同大大学院総合文化研究科修士課程修了 (物理学)。2013年末頃からビットコインの技術に興味を持ち始め、暗号資産 (仮想通貨) に関連したウェブサービスを多数開発。仮想通貨交換業者向けウォレットベンチャーの立ち上げ、仮想通貨支払いのできるECプラットフォーム、マイニングプール、交換所など多数の事業を行ってきた。現在は DeFi 特化の月額課金制メディア「DeFIRE (https://defire.jp/)」の運営や国内での大規模マイニングを手掛けている。Twitterアカウントは https://twitter.com/visvirial

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取材実施日

2023年7月3日

バリュー投資であろうとテクニカルを用いた短期取引であろうと、勤勉であることが最も重要

ーー投資でうまくいくためには何が必要だと思いますか。

市場と向き合い、常に知識や経験を積み重ねて勉強している人でなければ投資は勝てないので、学習意欲の高さは必須だと思います。

当然ですが、SNSで話題になっているからといって資金を投下するような取引では勝てません。自ら情報収集し、投資対象となる企業の製品や経営陣、最近の決算状況等、企業の情報を深く理解することが大切です。

さらに、どのような金融商品が存在し、それぞれにどのようなリスクがあるのかといった基本的な知識、あるいはレバレッジの仕組みやチャートの分析手法など、投資に関連するさまざまな情報を貪欲に調べ、学ぶ姿勢が必要でしょう。

そういった人でなければ投資で勝つのは難しいと考えています。

ーー投資先の決算書などをどれくらいの頻度で見ていますか。

年に一回、株主総会の招待状とともに資料が送られてきますので、それを見て、その年の利益や損失の状況を確認しています。

コンスタントに収益を出し続けている企業でなければ、株価が長期的に上昇するのは難しく、定点で継続的に確認することは重要なことだと思います。

ーーびりあるさんの周りの投資で成功している方々はやはり熱心に勉強をされている方々ばかりでしょうか。

私の周囲の投資家は勤勉に勉強をしている方々ばかりです。

私はビットコイナーなのでビットコインの保有が多いのですが、ビットコインが持つ社会的インパクトやなぜ注目を集めているのかなど、皆、本質的に理解しています。

ビットコインの相場が盛り上がって、「俺も儲けるぞ」と投資する人がいますが、結局上がるときはすごく上がりますが、下落するときはすごく下がります。そうすると、彼らは市場から消えてしまいます。

ずっと市場に残っている人たちは、そのような動きを予測し、それでもビットコインが長期的に注目を集め続けるだろうと信じて買っている人たちです。自分自身の信念に基づいて、自分なりの考えを持っている人が多い印象です。

バリュー投資であろうとテクニカルを用いた短期取引であろうと、勤勉であることが最も重要だと思います。

起業はいわば未上場企業に投資する行為であり、成功した際のリターンは大きいがリスクも非常に大きい

ーー資産を形成するためには「まず事業で元手を作って投資したほうが早い」という意見がありつつ、「事業よりも投資のほうが再現性も高い」という二つの意見があります。事業と投資と両方の経験を持つびりあるさんはどのようにお考えですか。

一見すると、事業か投資かという二者択一に見えますが、これらは全く別の話だと考えています。

前者は、投資にはある程度まとまった種銭が必要で、それをどのように作り出すかという問題です。

一方、後者は投資と事業のどちらが資産を作り出す上で再現性があるか、つまりどちらが簡単に利益を出せるかという問題です。

これらは根本的に異なる話なので、分けて考えるべきです。

ーーそれではその前提でそれぞれについてどのように見ているか教えてください。

まず、「ある程度まとまった種銭」は、サラリーマンとして300万円や400万円の給料から少しずつ貯めても限界があり、何らかの対応が必要です。

一般的には、事業を立ち上げて数千万円、数億円を稼ぐのが最も近道でしょう。私の場合は事業ではなくビットコインでしたが。

一方で、事業は非常にハイリスク・ハイリターンです。例えば、完全なゼロからスタートする場合、自分で資本金を出して経営をするというのは、利益も大きいですがリスクも非常に大きいです。

起業というのはいわば未上場企業に投資するのと同じであると考えており、成功した場合のリターンは大きいですがリスクも非常に大きいです。

そういった点を考慮すると、投資の方が勝算が高いし、再現性も高いといえるでしょう。

ですから、事業で種銭を作り、それを投資に回して安定的に増やしていくというのが、資産を築くための一般的なステップだと考えています。

良い大学に行き良い会社に就職し、高年収を得てその収入を投資に回すのが再現性としては最良なはず

ーーもし大学4年生の後輩から5億円の資産を築く方法を尋ねられたら、どのように回答しますか。

5億円の資産を作るのは難しいですが、最も安定してリスクが低い方法は、しっかりと勉強して良い大学に行き、良い会社に就職して例えば年収2000万円程度を得て、その収入を投資に回すのが再現性としては最良ではないでしょうか。

もちろん、一発逆転を狙って起業するのも一つですが、前述の通り非常にハイリスク・ハイリターンですので、サラリーマンとして稼ぐのと起業で稼ぐのがどちらがいいのかはその人の適正次第かと思います。

ーーびりあるさんは起業しイグジットも経験されているので、起業推しかと思いました。

起業は難しいですよ。精神的にも負担が大きく、辛さに耐え、事業を成長させ、安定した収益を得る企業を築くことは大変です。

時間も必要で、5年から10年はかかります。

みんなに「起業してベンチャー企業を始めましょう」とは言いにくいですね。

現在の税制を考慮し、相続を見越して不動産投資へのシフトを検討

ーー不動産投資についてはいかがでしょうか。

不動産はREITを持っています。実物の不動産は価格が大幅に上下するわけでもなく、キャピタルゲインよりもキャッシュフローを目指す投資になると考えています。そういう意味では、安定感や精神的な安心度としては高いでしょう。

ただ、銀行から借りて投資する場合、レバレッジを活用することになり、リスクも存在します。金利上昇、不動産価格の下落などです。

しかし、リスクはありますが、私は不動産投資をやってもいいと思います。

私自身まだ30代で相続の問題は早いかもしれませんが、不動産は相続時に評価額が実勢価格の70%~80%となるため、現金などで相続するより相続税が軽減されます。

参考:【相続対策】不動産(宅地)の相続税評価額は現金の約70%~80%

そういった意味で、退職や亡くなる時期を見据えて、不動産投資へシフトしていくという選択肢は考えています。

一方で、アップサイドについては現在のマンション価格は高騰しており、過去数十年間で30%から40%も上昇しています。いまからキャピタルゲインを追求することもできなくはないと思いますが、大幅な上昇を期待するのは難しいでしょう。

安定した家賃収入を得る、相続税対策で購入する、というのは有りだと思います。

ーーではやはり投資としては不動産より株式に関心があるということですね。

いまはその通りです。しかし、株を万人に勧めるわけでもありません。

よく「おすすめの銘柄は何ですか」と聞いてくる人がいますが、本人の年齢、性別、家族構成、収入、現在の金融資産の額などによってリスク許容度は変化し、適切なアセットアロケーションも異なるわけです。尚且つ、株式投資は買い値から半値になる可能性もあります。

そのようなリスクを取れない方々は、年利3%から5%程度で不動産投資や高配当株投資を行うほうが適切かもしれません。

日本株の上昇については引き続きポジティブに見ている

ーーびりあるさんは日本株に投資していますが、いまの日経平均の上昇についてどのように見ていますか。

円安が進行している現状では輸出企業の業績が良好であることが影響していると考えており、引き続き円安が続けば業績も成長していくと予想しています。

現在の株価がバブル化しているとも感じていません。短期的な株価については全く予測できないですね。

ーー金融市場全体、金利の動向や米国株、暗号資産全体について、どのように見ていますか。

全ては米国の動向次第のためわかりませんが、インフレ率に関しては一時期10%まで上昇していたものの、現在は4%ほどに落ち着いてきています。(編集者注:本取材は2023年7月3日に実施)

そのため、これからさらに米国が急激な利上げをするとは考えていません。

現在、金利は5%程度になっており、これ以上の上昇はドルを借りて営業を行っている企業にとって厳しい状況になります。

倒産する企業が増えれば経済もひどいダメージを受けてしまうため、今後さらに6%、7%と引き上げていくのは難しいのではないでしょうか。

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びりある氏の全3回のインタビュー、2記事目に続きます。

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