今年は年頭から大きな地震が多いです。
被害に遭われた方へ心よりお見舞い申し上げます。
地震は発生しない方がいいですが、100%回避できるかと言われたらそうではないと考えています。
言い換えれば、こと日本において、地震は想定しておくべき日常リスクではないでしょうか。
では、投資家は地震というリスクとどう向き合えばいいのか。
それが今回の記事のテーマです。
おせちーず氏 プロフィール
投資歴約32年の女性株式投資家。新卒でシステムエンジニアとして従事し、その後証券アナリスト、シンクタンク研究員を経て、現在大学講師。『個別株でインデックス以下のローリスク・ローリターン』を追求した株式投資を行っている。
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ミクロで捉えれば、地震によって株価が反応する業種がある
地震発生に伴って、生活を再建するために道路やトンネル、橋などのインフラを復旧させなければいけない状況であれば、概していえば建設業の銘柄は少なくとも一時的に買われる傾向があるように感じます。
いわゆる「復興需要」ですね。
また、建造物等の耐震意識が高まります。
例えば、筆者が数年保有している「ショーボンドHD」(東プ:1414)は、橋梁等の社会インフラの補修・補強を専門とする、「総合メンテナンス企業」です。
自ら「造らない会社」を名乗っています。
ショーボンドHDは2024年1月1日の能登半島地震発生後、大きく株価を上げています。
これは、「耐震意識が高まり、インフラ補修・補強需要が高くなる」と考える投資家が多かったからではないでしょうか。
ミクロで捉えれば、地震によって株価が反応する業種はほかにもあると考えます。
保有する線路がダメージを受ければ、その鉄道会社は一時的には買われにくくなるでしょう。
主要工場が操業再開を見通せないレベルの被害を受ければ、その企業の株価は少なくとも一時的にはネガティブな動きになると考えられます。それは小売りでも同様です。食品スーパーやドラッグストアは、それぞれが得意な地域を持つことが多いです。
生活再建のめどが立つようになると、家電量販店やホームセンター株が一時的な需要増に伴って株価がポジティブに反応することもあるでしょう。
一方、能登半島地震発生時、2024年初頭の日本株市場は軟調になるというシナリオを描いた投資家もいたでしょう。筆者もシナリオの一つとして想定しました。
しかしながら、2024年初頭から3月下旬までの日本株市場は驚異的な強さを見せ、日経平均株価は34年ぶりに史上最高値を更新しています。
上昇相場の主役は外国人投資家だったと思います。
彼らの目には、「日本って大地震が起きても、想像以上に速いスピードできちんと復興させるんだ」という印象があるのでしょうか。
想像に過ぎませんが、大地震に対する日本人の印象と外国人投資家の印象は異なるのかもしれません。
Back to March 2011
時計の針を13年戻します。
2011年3月11日、午後2時46分。
忘れもしない東日本大震災が発生しました。
当時筆者は証券アナリストでした。
東京都中央区のオフィスにいました。
この日は3月のメジャーSQの日で、朝のSQが終わり、今週のマーケットがあと15分で終わるなぁと少しのんびりしていた時間帯です。
いきなり激しく揺れて、隣の席の女性は立っていられないくらいの揺れだったのを憶えています。
そうこうしているうちに、東京市場はクローズし、その後ぐらいに外に避難することになりました。
オフィスにほど近い公園にとりあえず避難した記憶があります。
1時間ぐらい公園にいたあと、オフィスに戻ろうという指示がでて、その後は帰宅していいことになりました。
とはいえ、鉄道が運転を見合わせていたため、身動きをとれる人は少なかった記憶です。
筆者も午後7時ぐらいまでオフィスにいて、当時千代田区で働いていた夫が筆者のオフィスの近くまで歩いてきたので、かろうじて席を確保できた店で食事をとり、午後8時ぐらいにとりあえず歩いて自宅方向へ向かうことにしました。
奇跡的に、鉄道が運転再開をし、歩いた距離は5kmぐらいで済んだでしょうか。
日付が変わる前に自宅に到着しました。
そんな状態だったので、その日のマーケットがどうなったのかわからずにいました。
東日本大震災後の3月14日の株価
振り返ると、地震発生後からやはり売りが相次いだようです。
当時の日本株市場は2008年に発生したリーマンショックからの回復途上でした。
4桁だった日経平均株価が1万円を回復し、のらりくらりの推移を続けていた記憶があります。
東日本大震災が発生したのは金曜日でした。
翌月曜日には東京電力が計画停電の可能性を示唆したため、鉄道が運転を相次いで見合わせたため、出社できた人が少なかったです。
筆者はかろうじて運転していた路線のユーザーだったので、何とか午前9時前に出勤できましたが、午後は運転見合わせと言われており、勤務先からも電車が動いているうちに帰宅しろとの指示があって、午前中だけで帰宅しました。
しばらくは、出勤してもほとんど仕事にならず、残業なしで帰宅していた記憶があります。
当時の日経平均株価の推移です。
3/14はやはり大きく下落しています。
その後9,000円を割り込みました。
このころは、4万円はおろか、1万円が見えない展開でした。
仕方ありません。
被害の実態すらつかめず、電力供給も危うい状況でしたから。
4桁と5桁をうろうろする展開は、2012年が終わるころ、民主党政権から自民党政権に代わり、「アベノミクス」という言葉がポピュラーになるまで続きました。
当時と現在のマーケット環境にもう一つ大きな違いがあります。
円高でした。
1ドル80円ぐらいでしたから、現在の半分ぐらいです。
この円高が輸出企業を苦しめて、製造業が多い日本株市場は資金が入りにくい状況でしたが、東日本大震災後はさらに円高が進み80円を割りました。
超円高も、アベノミクスがポピュラーになるまでは続いた事象です。
5月ぐらいにはほぼ普通に仕事をできるようになりましたが、この時期日本株ストラテジーを考えるのはしんどい仕事でした。
ただ、原発というエネルギー源に頼れず、化石燃料を使って発電するしかなかった電力会社にとって、円高はありがたかったかもしれません。
投資家だったらどうしていたか?
当時の筆者は前述したように、証券アナリストだったので、自由に投資できる立場ではありませんでした。
が、仮に自由に投資できる立場だったとしても、東日本大震災後しばしの低迷局面で思い切って買いを入れる勇気は筆者にはなかったかもしれません。悲観が強すぎたとでも言いますか。
日経平均株価4万円はおろか、1万円すら想像しにくい環境でしたから。
仮に、この時期にいっぱい買っていたとしても、今までホールドしていられたかと問われれば自信がないです。いいとこ、2倍ぐらいになったところで利益確定したんじゃないかなと思います。
2014年にNISAが導入される前までの数年、株式等の譲渡所得課税が10%に軽減されていました。2013年末には課税を考慮していったん利益を確定する人が多かったはずです。筆者も投資家だったら、この辺りでいったんそこそこ利益を確定しただろうなぁと思います。
ただ、この時期もコツコツ日本株投信を1万ずつ買ってました。
一時期は相当含み損になっていましたが、本当に残高を見ずに電気料金の引き落としのつもりで続けていました。それは2020年にすべて売却しましたが、たとえ1万円でも投資を続けていた効果は大きかったと実感しました。
よって、大事なことは、どんな形であれ、マーケットから逃げないことなんじゃないかと思います。
個人的には、地震発生後の日本株投資は間接的に復興支援になる要素もあるのでは?と考えます。
今後も地震は起きるでしょう。
首都直下型とか南海トラフが起きたら・・・・と考えてしまうかもしれませんが、それがいつはっせいするかを予測するのも無理な話だと考えます。それが、資産を使う時期に起きてしまったら、もう仕方がないと思える程度な資産形成はしておきたいなと思います。
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