先日掲載されたファミレス3社の比較に続いて、日本の化粧品メーカー3社を比較します。
対象は資生堂(4911)、コーセー(4927)、ポーラオルビスHD(4927)です。
おせちーず氏 プロフィール
投資歴約32年の女性株式投資家。新卒でシステムエンジニアとして従事し、その後証券アナリストを経て、現在は企業に勤めながら大学で非常勤講師にも従事。『個別株でインデックス以下のローリスク・ローリターン』を追求した株式投資を行っている。
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ブログ:https://ssizehappy.exblog.jp/
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化粧品業界の事業規模
(株)矢野経済研究所が2023年5月~9月に実施した「化粧品市場に関する調査(2023年)」によると、2023年の国内の化粧品市場規模は2兆4,500億円(予測値)です。

2022年のカテゴリー別の市場構成比も掲載されていました。
2022年度は、消費者の外出機会が徐々に増加し、化粧品の需要回復が進んだそうです。また、2022年10月より日本政府が個人旅行の受け入れや査証免除措置の再開等を実施したことを受けインバウンド需要も回復の兆しを見せたこともプラス寄与しました。
とはいえ、市場規模がコロナ禍前ほど回復しているわけではありません。
コロナ禍のマスク生活と在宅勤務の普及は、メイクアップ用品の需要低下に繋がりました。口紅は不要な生活になったということです。新型コロナウィルスは化粧品の需要を変えてしまいました。
国内化粧品メーカー売上高ランキング
順位 | 企業名 : カッコ内は銘柄コード | 売上高(億円) |
1 | 資生堂(4911) | 10,673 |
2 | 花王(4452) | 2,515 |
3 | コーセー(4922) | 2,350 |
4 | ポーラ・オルビスHD(4927) | 1,617 |
5 | ロート製薬(4527) | 1,574 |
6 | DHC | 905 |
7 | マンダム(4917) | 670 |
8 | ファンケル(4921) | 574 |
9 | 日本コルマー | 556 |
10 | ノエビアHD(4928) | 470 |
注:原則として直近本決算期の化粧品事業の売上高でランキング
今回比較する3社を除いて少しずつ触れます。
2位:花王(4452)
花王が独自に有しているブランド「ソフィーナ」の他、2006年に買収したカネボウ化粧品が売上を構成しています。
5位:ロート製薬(4527)
目薬がよく知られた企業ですが、実は売上高の66%をスキンケア製品が占めています。主なブランドは「オバジ」、「肌ラボ」です。
6位:DHC
2023年1月、オリックス(8591)が買収しました。
7位:マンダム(4917)
男性用化粧品が主力商品です。主なブランドは「ギャツビー」、「ルシード」です。
8位:ファンケル(4921)
無添加化粧品の大手です。サプリメントや青汁等の製造販売もしています。筆頭株主はファンケルの創業者が株式を譲渡したキリンHD(2503)です。
9位:日本コルマー
国内最大手のOEM化粧品メーカーです。
10位:ノエビアHD(4928)
訪問販売化粧品が発祥です。常盤薬品工業も傘下に持ちます。
また、売上の規模こそ小さいものの、ロート製薬のように異業種も参入しているビジネスです。大塚HD(4578)や富士フイルムHD(4901)などがよく知られています。
3社のライバルは国内だけではありません。海外メーカーが最も大きなライバルです。
「ランコム」、「イヴ・サンローラン」等のブランドを持つフランスのロレアルの売上高は約5兆円です。
「エスティ―ローダー」、「クリニーク」、「ボビィ・ブラウン」等のブランドを持つ米国のエスティ―ローダーの売上高は約2兆4,000億円です。
これらの海外メーカー製品に日本人が容易にアクセスできるのも、化粧品ビジネスの特徴です。
3社の基本情報
この記事で比較する3社の基本情報です。
資生堂 | コーセー | ポーラ・オルビスHD | |
主はブランド | クレ・ド・ポー・ボーテ、エリクシール、マキアージュ、アネッサ、アクアレーベル・SHISEIDO | コスメデコルテ、雪肌精、ジルスチュアート、アディクション、ワン・バイ・コーセー | リンクルショット、B.A |
決算期 | 12月 | 12月 | 12月 |
売上高(直近本決算、単位:億円) | 10,673 | 2,350 | 1,617 |
株主優待制度 | あり | あり | あり |
株主優待を得るために必要な最低株数 | 100株 | 100株 | 100株 |
たまたまですが3社とも12月決算銘柄で、筆者としては銘柄比較を非常にしやすいです。
資生堂は国内最大手・世界トップ5に入る化粧品メーカーです。売上100億円以上のブランドを10以上持っています。
海外でもよく知られたブランドで、海外では高級化粧品の代名詞の一つになっているようです。
近年は不採算事業の売却例が多くなっています。
コーセーはかつて、創業者の小林孝三郎氏が由来で「小林コーセー」という企業名でした。1991年に「コーセー」と商号変更しています。近年は広告に男性アスリートをよく起用しています。羽生結弦さんや大谷翔平選手と言われれば、「あぁ」と思い当たる方がいらっしゃるでしょう。
ポーラ・オルビスHDはその名が示すように、化粧品訪問販売トップのポーラ、通信と店舗販売のオルビスが2006年に経営統合して誕生した企業です。
指標比較
ざっくりと、3社の指標を比較します。
資生堂 | コーセー | ポーラ・オルビスHD | |
時価総額(百万円) | 1,956,400 | 638,342 | 353,786 |
株価(円) | 4,891 | 10,535 | 1,544 |
予想1株配当(円) | 60(2023/12期) | 140(2023/12期) | 52(2023/12期) |
実績配当性向 | 116.8% | 42.5% | 100.5% |
予想PER(倍) | 69.8 | 45.1 | 29.4 |
PBR(倍) | 3.14 | 2.25 | 2.03 |
自己資本比率 | 46.21% | 72.02% | 83.00% |
3社まちまちではありますが、総じていえば相対的に高PER、高PBRで配当性向も高い状況です。
2023年の日本株マーケットは低PBR銘柄に資金が入りましたが、その点でも避けられやすいように見えます。
コーセーとポーラ・オルビスHDは自己資本比率が非常に高いです。
両社ともに、現預金の額が負債より多い、実質無借金企業です。
悪いことではありません。特に金融危機では相対的に有利になる傾向があります。
一方、場合によっては投資ファンドに「キャッシュの有効活用を」などと言われかねません。それを意識して株主還元が強化されるようであれば、投資家全体には有難い話かもしれませんが。
株価推移
株価の5年推移比較です。
参考のためにTOPIXも入れました。
3社の動きは似ていて、コロナ禍以降、TOPIXをアンダーパフォームし続けています。

コロナ禍以前まで化粧品業界の業績成長のドライバーになっていたのはインバウンド需要でした。
東京の百貨店の化粧品売り場には中国語を話す店員を置く店舗が珍しくありませんでした。
そのインバウンド需要がコロナ禍以降大きく縮小しています。
2023年にコロナウィルスが5類に移行した後、インバウンド需要がやや回復しましたが、足下は福島第一原子力発電所の処理水放出により、中国からのインバウンド客が減ったことが、投資家にはさしあたり売り材料になっているように見えます。
足下の株価は3社ともに過去5年で最も低い水準にあり、コロナショックを下回る水準まで下落しています。しばしは、底がどこかを探る展開になるでしょう。
今回は、化粧品業界を取り巻く環境とその主なプレイヤー、記事で比較する3社について簡単にレビューしました。
次の記事では3社の業績のレビューと近未来予想をする予定です。
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おせちーず氏の化粧品3社比較、後編に続きます。
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