「高金利の時期においてはバリュー銘柄の方が有利」ファンドマネージャー・前田氏 3/3

ファンドマネージャーの前田氏(仮名)に、同じPBRでもより魅力的な企業を選ぶためのポイントなどについて伺いました。

ファンドマネージャー 前田(仮名)氏 プロフィール

国内外の運用会社において20年超のキャリアを持ち、日本株ファンドをはじめあらゆるマルチアセットクラスの運用経験を持つ。

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企業がどの程度の借金を抱えているか、資産がどのように構築されたのかを調査することが大切

ーー同じPBRでもより魅力的な企業を選ぶためのポイントは何でしょうか。

重要なことは「企業が保有している資産がどのように裏付けされているか」で、企業がどの程度の借金を抱えているか、資産がどのように構築されたのかなどを調査することが大切です。

しかし、これらの情報は財務諸表だけでは十分には読み取れません。実際に企業を訪問したり、株主総会に参加して質問するなど、自ら動いて情報を集める必要があります。

個人投資家であっても、IR担当者にメールで問い合わせて情報を得ることも可能です。

公表されている数字だけでは判断できない部分も多く、企業から直接情報を得て裏付けをとることは非常に大事な試みだと思います。

ーー決算の財務諸表など、開示資料だけでは限界があるということでしょうか。

限界があるというより、判断が難しい、ということですね。

直接情報を仕入れることで決算短信が実際の企業の状況を正確に反映しているのか、単なる表面的な情報なのかを判別することもできるようになります。

ーー株主総会での質問は確かに情報も得られますがほかの投資家も出席しているため織り込まれてしまいそうです。IR担当者に直接メールで個別に詳細な質問をすることは有効ですか。

IR担当者が特定の一部の投資家に対して特別な情報を提供することはありません。しかし、長期間にわたって一つの企業をフォローしていると、その企業の特徴や傾向が理解できるようになります。

例えば東京都競馬株式会社の場合、企業が所有している土地の位置や周辺の地価などの情報をIR担当者から直接得ることはできませんでしたが、その手前の簡易的な情報を提供してもらうことで自分で調査し、企業の実態をより深く理解することができました。

ビットコインは為替と同様で価格の裏付けがわからないので買っていない

ーーファンドマネージャーとして株式投資をしていた前田さんにとって、ビットコインはどのように見えていますか。

私は長らく伝統的な資産である株や債券などに投資してきましたが、為替やコモディティなどのオルタナティブ資産については全く知識がありません。ビットコインも、ある意味では為替の一種として捉えています。

ーーどういうことでしょうか。

私は為替が何の裏付けによってどのように動いているのか全くわからないのですが、ビットコインも同様で、価格がどのような裏付けによって決定されているのかわかりません。そしてボラティリティも非常に高いです。

そのため個人の資産として保有するというのは問題ないと思いますが、リスクコントロールができないため積極的に資産を増やしていくための投資対象としては選べないかなと考えています。

ーーではビットコインは保有していないのでしょうか。

はい、保有していません。

ーー個人の資産はいまどのように保有されていますか。

会社の規定上、上場株へ投資するためには特別な手続きが必要で、非常に面倒で現実的ではありませんので株式は保有していません。

なので資産の半分をドル、残り半分を円で保有しています。ドルは現在のようなドル高になる前から持っていますね。

親から引き継いだりで金も現物を少しだけ保有していますが、自ら進んで購入したものではありません。

ーービットコインのETFが開始されると伝統的資産への投資を行うアセットマネジメント界隈でも見方などは変わりますか。

ビットコインが正式なアセットクラスとして認められる時期は未だ不透明な段階であるという認識です。今後、米国の大規模な年金基金などが投資を開始すれば、市場の動きも段階的には変わってくるでしょう。欧米の主力ファンドやソブリンウェルスファンドなどが最初に参入すれば、その後企業年金なども次々と参入するのではないでしょうか。

投資信託の資金流入を見てもインド株ファンドや日本のバリュー型ファンドへの投資が顕著

ーー現在注目しているマーケットやセクターはありますか。

仕事柄、常にグローバルな資金の動向を注視していますが、現在の注目している資金流入先は、主にインド株と日本株の2つです。

投資信託の資金流入を見ても、主要なトレンドとしてはインド株ファンドや日本のバリュー型ファンドへの投資が顕著です。

インド株は年初来高値を更新していますし、日本株も以前は低迷していましたがPBRの底上げによってバリュー株に資金が集まり、市場が持ち直しています。

一方で、最も資金が流出している地域は中国です。中国株ファンドの解約が多いことからも、資金が中国から離れていることが分かります。

米国株は依然として出入りの激しい状況が続いていますね。

ーー日本のPBR1倍の株式に投資するファンドもあるのでしょうか。

そうですね、元々海外の投資運用会社には、日本のグロース銘柄よりもバリュー銘柄を狙う投資家が多いんです。日本株は最近の話題以前に前から割安だと言われてたので、ここぞとばかりに外国のファンドが買いに来ています。今、日本のバリュー株は熱いです。

ーーPBR1倍割れ問題についてはどのように見ていますか。

最近注目されていますが、日本株の底上げのために大きな役割を果たしていると感じています。

長らく放置されてきたこの問題は、海外から見れば異常な状況とも言えるわけで、その結果、いわゆるハゲタカのような投資家に狙われたこともあります。日本市場全体の底上げにも繋がりますし、私はポジティブに見ています。

金融市場にお金を呼び込むという意味でNISAも浸透し新NISAも始まってきていますし、本格的に貯蓄から投資へといった動きが始まっている印象を受けますね。

金利上昇がバリュー投資の追い風になっている

ーー米国の金利動向が注目されています。バリュー投資では利上げや利下げによってどのような影響を受けますか。

バリュー投資はグロース投資と比べると金利の変動による影響が小さいです。むしろ金利の変動によってグロース株が減速するとバリュー株に資金が流れる傾向があります。

金利が上昇するとグロース企業は資金調達において負担が増え、株価としては厳しい状況になります。バリュー株は、通常、財務基盤が堅固であり負債が少ないため、むしろ金利の上昇は追い風になることが多いです。

ーーこれまではグロース株が優位だった印象がありますが、どのように感じられていましたか。

過去の市場動向を見ると、グロース株が長らく優位であったことは確かです。

これによってバリュー投資が得意な私は仕事を失ったこともありますが、最近ではバリュー投資が再評価され、私にも過去の職場から声がかかるほど状況が変わった印象があります。

リスクと配当のバランスを考慮した投資判断

ーー長らく低金利の時期が続きましたが、今後しばらくは高金利が維持されるとの見方もあります。高金利が長く続くと仮定すると、グロース投資よりもバリュー投資の方が高い利回りを見込めるのでしょうか。

グロース銘柄はほとんどが無配でバリュー銘柄の特徴は高い配当利回りなので、高金利の時期においてはバリュー銘柄の方が有利であるとは言えると思います。

ーー国債の利回りが4%から5%の高金利が長く続く際、バリュー株に投資するか債券に投資するか、どのように考えたら良いでしょうか。

一概には言えませんが、外国債券にはクレジットリスクが存在するため、そのリスクを考慮しながら判断する必要があります。

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