「半導体の材料製造で世界首位のシェアを持つ信越化学に期待」株式投資家・おせちーず氏 後編

投資歴31年、証券アナリストの経験もある株式投資家のおせちーず氏に、信越化学への投資やいま注目している分野などについて伺いました。

インタビュー・執筆・編集:内田 誠也

おせちーず氏 プロフィール

投資歴約31年の女性株式投資家。新卒でシステムエンジニアとして従事し、その後証券アナリストを経て、現在は企業に勤めながら大学で非常勤講師にも従事。『個別株でインデックス以下のローリスク・ローリターン』を追求した株式投資を行っている。
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半導体は社会に必要不可欠な要素となっており、信越化学は半導体を作る上で重要な材料の製造で世界で首位のシェアを持っている

ーーおせちーずさんが期待されているという信越化学工業株式会社(以下、信越化学と記載)への投資について教えてください。

信越化学は半導体に使われているシリコンウエハーなどを製造している会社です。シリコーン、塩化ビニル樹脂などで世界首位のシェアを持っています。

会社自体はずいぶん前から興味があったのですが、投資をはじめたのは2022年8月からです。

▼編集者注:信越化学のマーケットシェア。信越化学のサイト より引用

信越科学の株価が2022年6月に52週安値をつけて資金を入れようか考えたのですが、ちょうど半導体不況が来ているタイミングで、半導体用のシリコンウエハーの事業は儲からないのではと躊躇しました。

信越化学は普通に買うと100株で約200万円。状況的にそこまで踏み切れる確信もなく、マネックスのワン株で少しずつ様子を見ながら買い増ししていきました。

信越化学の株価。出典:tradingview.com

ーー信越化学がおせちーずさんのポートフォリオの中で一番期待できるというのはどういった理由からでしょうか。

真面目に商売していて、代わりとなる企業があまりないと考えているためです。

半導体はさまざまな事業において必要不可欠な要素となっていて、信越化学はその半導体を作る上で重要な材料を製造し、世界で首位のシェアを持っている。

例えば、いま車が手に入りづらいのは半導体の供給が不足しているからです。私の周りでは車の納品を何ヶ月も待ってる人が何人もいます。新車はいま全然手に入らない。

参考:半導体不足解消せず、2大市場に懸念材料…自動車業界トップが語る23年の見通し

車以外にもいろんなところで半導体は利用されており、なくてはならないものになっている。それで半導体の材料を製造している会社の株価はそうそう大崩れしないだろうと考えています。期待しているのはこういった理由からです。

ーー真面目に商売しているとはどういうことでしょうか

信越化学は昔、金児 昭氏という優秀な財務担当者が在籍していました。

私が証券アナリストをやっていた頃から有名で何冊も本を執筆している方で、そのためか信越化学は株式市場にちゃんと向き合い、どうやったら株価が上がるのかをちゃんと研究している会社なんです。

参考:会社を守るのが経理・財務の役割 経営評論家・金児昭氏④ | 東洋経済オンライン

具体的な数字でいうと、信越化学のROEは16%ですが、製造業で16%という会社はあまりありません。例えばトヨタのROEは11.5%で信越化学はトヨタよりも5%高い。これはすごいことです。

▼トヨタのROE 財務データ | 投資家情報 | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト より引用

▼信越化学のROE 財務ハイライト | IR情報 | 信越化学工業株式会社 より引用

日本の製造業は品質は高く世界で戦えるものもある

ーー製造業や半導体の領域についてどのように見ているか教えてください。

私、実は為替に左右されるので製造業株があまり好きじゃなかったんです。証券アナリスト時代に1ドル75円の苦い思いをして以来、為替に左右されない銘柄を好んでいました。

信越化学も東レも興味自体は昔から持っていても投資をはじめたのはここ最近で、買うまでに時間がかかりました。

しかしグローバル化でサプライチェーン網は世界中に張り巡らされ複雑化していたのですが、コロナ禍で打撃を受けいろんな製品が容易に手に入らなくなってしまった。

そのような状況下で、日本の製造業は儲かるかどうかは別として、品質は高い。丁寧に探せば世界で戦えるものもあると考えました。

そういった経緯もあり、苦手意識はあったのですが興味を持ち、ここ2年は日本の製造業株を調べポートフォリオに入れることになりました。

半導体銘柄の全体の推移ですが、一時期はコロナ禍もあり苦しい状況が続きましたが、いまは息を吹き返しつつあるんじゃないでしょうか。

東京エレクトロンの株価を見ても3万5000円の底値から4万7000円まで盛り返してきた印象があります。

出典:tradingview.com

水、農業、インフラ整備の分野に注目

ーー注目している分野があれば教えてください。

水、農業、インフラ整備です。農業は世界、インフラは日本のインフラです。

農業に注目しているのは、これから世界的な人口増加が予想されますが、圧倒的に食べ物が足りないためです。それでディアー・アンド・カンパニーに投資しています。

日本のインフラに注目しているのは、3年前にやめた公務員勤務時代に修理しなければいけない橋、トンネル、道路がたくさんあることを知ったからですね。

これらはなくなったら困るので、これからもコンスタントにお金が落ちます。なので「造らない建設会社」をコンセプトにしているショーボンドを買っています。ショーボンドは橋を直すのが得意な会社なんです。

そのほかだと水道もそうです。水道インフラは老朽化の最たるものです。水道管破裂などのニュースをよく見かけるのはそういうことです。

参考:最近の水道行政の動向について 厚生労働省 医薬・生活衛生局 水道課

アナリストレポートの読み方

ーー証券アナリストを経験されたおせちーずさんから見て、アナリストレポートを読む際の注意点などはありますか。

物によりますね。

マクロ経済のレポートは欧州やアメリカの状況など自分ではわからないことが書いてあることもあり、読んでもいいと思っています。

個別銘柄のレポートに関しては、そのレポートで買いが推奨されているからそのまま鵜呑みにして買う、というのはやめた方がいいです。

レポートに書いてあることを読んでそのうえでどういう売買をやる、と自分なりの考え方を持てるなら読んでもいいと思います。

基本的にカバレッジは買い推奨が多い。そうでなければ証券会社は商売になりにくいので。

ほかにも、レポートで扱える銘柄は会社によって決められています。なのでレポートには取り上げられないけれど、投資妙味がある銘柄ということも出てきます。

日本株だと大型株しか取り挙げられないというのもあります。

良いレポートを挙げるとすると、四季報では2期先までしか触れていないけれど、アナリストの予想では5期先まで考察が書いてあるものもあります。同業他社との比較を載せてくれるケースもあって、資生堂であればエスティローダーやロレアルとの比較を載せてくれるものもあります。

こういったレポートはとても有意義だと思います。

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インタビューの前編はこちら。

おせちーず氏の経歴や投資の考え方などロングインタビューの記事はこちら。

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