「フレキシブルに勝ち馬に乗りつづけられることが投資家の強み」投資家・SGee氏 2/3

FIRE済みの投資家であるSGee氏に、FIREの経緯や今後への不安について伺いました。

SGee氏 プロフィール

名前の読み方は「えすじー」。 FIRE済みの元サラリーマン投資家。米国個別株、各種インデックス中心に運用。太陽光やクリプトも少し。海外でグローバル企業勤務→日本。40代。お金の話も絡めつつ放言系。

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取材実施日

2024年5月17日

経済的に自由じゃないから自由じゃない

ーー1999年ごろから投資を始めて、リーマンショックの暴落でも投資を辞めず、生活水準も大きくは上げずに入金力を上げて20年以上投資されていますが、どのような目標で投資されていたのでしょうか。

2001年頃、当時ベストセラーだった「金持ち父さん貧乏父さん」を読んだ際に「経済的自由」という概念が書かれていて、そこで初めて「お金から自由になっていいんだ」「そういう状態があり得るんだ」と目から鱗が落ちました。

それから今で言う「FIRE」を目指して投資を始めたのが最初ですね。

贅沢したいというよりは、自由になりたいという気持ちが強かったです。

「体調が悪い日だってあるのに、何で毎日決まった時間に起きて仕事に行かなければならないのか」と会社員なら誰だって一度は疑問を持ったことがあると思うんですが、それは突き詰めて考えればお金がないからですよね。

「経済的に自由じゃないから自由じゃない」と日々感じていました。

退職直前の頃には、たった一日で月の給料分、資産額が増減していた

ーー現在40代で2021年に退職されていますが、そのタイミングでFIREされた背景について教えてください。

ある時、その年の資産の増加額をエクセルで集計してみたところ、その年の手取り額分、資産が増えていることに気づきました。

その後、2017年頃には日々の資産変動グラフの中に1ヶ月分の給料を入れても肉眼では認識できない程度になっていて、退職直前の頃にはたった一日で月の給料分、資産額が増減していました。

それで「このまま働く意味あるのか」と考えるようになったタイミングで早期退職の募集があり、退職のボーナスも大きくてそれがきっかけとなり退職しました。

ーーご家族はどのような反応でしたでしょうか。

反対も賛成もありませんでした。

好きにさせてくれるというか、やりたいようにやればいいという反応で。

ーーFIREした時はどんな心境でしたか。

実はそれほど盛り上がりもなくて、淡々と自然な流れとしてリタイアした感覚でした。

大きな期待も怖さもなく、淡々としていて、達成感も特になくて、なるべくしてなったという感覚ですね。

ドラマチックな感情の変化、心境の変化のようなものはなかったです。

予定がないことに幸せを覚えられる人はリタイアは向いている

ーーFIREされた現在の一日の過ごし方を教えてください。

朝起きて、家のことをやって、本を読んで、調べものをして、二度寝して、運動して、友達と会ったり家族で出かけたり、という感じですね。

友達から聞かれたときは毎日が日曜日のようだと答えているのですが、日曜日はあまりいろいろ決めて行動しないじゃないですか。

そんな感じで、朝起きて夜寝るまで気の赴くままに生活しています。

特に決まったスケジュールなんかはありませんね。

ーーFIREされて2年ほど経過されていますが、現在の生活についていかがでしょうか。

これが自然、こうなるべく生まれてきたといった感覚で、違和感もありません。

「FIRE」の「RE」、つまり早期退職については向いている人と向いていない人がいて、「動き回っていないと駄目」という人は向いていないでしょうね。

予定がないことに幸せを覚える、予定表が真っ白であればあるほど嬉しいという人でなければ完全なリタイアはお勧めできません。

間接指標である金利の動向よりも結果指標である株価に注目すべき

ーー最近のマーケットは為替の変動も大きく、米国の金利動向も注視されています。また、長らく続いた低金利・低インフレが終わりを告げ、高金利高インフレの状態が続くという意見もありますが、お金や投資の面での不安や対策があれば教えてください。

金利が注目されているのは確かですが、株式の投資家にとって本当に大事なことはあくまで金利ではなく株価の動向で、利下げが仮に来なかったとしても株価さえ上がっていればそれでいいわけです。

実際、米国の金利が上昇し続ける中で、例えばS&P500は下がるどころか上がり続けています。

▼2020年から現在までのS&P500のチャート

パウエル氏がうまくコントロールしているのだと思うのですが、そういった株価の状況もあり、私としては利下げの有無やタイミング、今後また金利が上がるかといったことについてはあまり懸念していません。

2024、2025年については楽観、強気のスタンスです。

間接的な指標である金利がどうというよりは、結果指標である株価を見るべき、その株価に陰りがなければ問題ない、という感覚でいますね。

フレキシブルに勝ち馬に乗りつづけられることが投資家の強み

ーー現在のスタンスや見通しについて理解しました。ただSGeeさんはまだ40代でお若いです。今後の人生はまだ先が長いですが、現在FIREしていることで将来への不安などはありませんか。

もちろん不安はゼロではありません。

ただ、投資家は極めて自由にポジションをとることができます。

日本の経済が衰退するということであれば海外に投資すればよいですし、日本円が駄目なら海外の通貨を持てばいいわけです。

フレキシブルに勝ち馬に乗りながら生きていけるんですね。

なので、どの馬に乗るかといった、そういった大枠の判断さえ見誤らなければ、過度な贅沢さえしなければ今後経済的に困ることはないのでは、と考えています。

不確実な未来に対しての本能的な不安感はもちろんありますが、理屈で、投資家特有の自由に戦略を立てられる立場を考えれば楽観的でいられる、という立場ですね。

ーーSGeeさんはリーマンショックを経験されていますが、今後、再びリーマンショックのように長期間株価の下落が生じるリスクに対して、何か準備、対策はされていますか。

過去の経験から、リーマンショックのような暴落に再び直面しても大した取引はできないとわかっています。

そのため、対策としては、株式などの資産を売却しなくても5年間は生活し、積み立てできる現金は常にキープしています。

九割は株と投資信託、その九割の半分ずつを個別株とインデックスで運用

ーーでは現在のポートフォリオについて教えてください。

九割は株と投資信託で、その九割の半分ずつが個別株とインデックスです。

残りの一割は現金、ビットコインなどですね。

このほかに太陽光も細々とやっていて、ローンがまだ残っていますが、毎月の収支はプラスになっています。

ーー不動産は保有されていないのですね。

はい、保有はしていませんが物色はしています。

昔から興味はあって、資産の多様性という意味でも保有したいとは考えているのですが、面倒な気持ちが勝ってしまい、まだ買えていませんね。

ーー株式と投資信託は半分が個別株で半分がインデックスとのことですが、国別の割合を教えてください。

感覚で言うと、個別株は八割が米国株、二割が日本株です。

個別株の内訳ですが、塩漬けや昔思いつきで買ったものなど過去二十年のしがらみが反映されていて、あまり綺麗ではありません。

その時々のいろんな考えで買っているので、「これが主力です」という銘柄はなくて、いろんなものを持っていますね。

投資信託はオールカントリー、米国株、先進国株が主力です。

「ビットコイン・スタンダード」を読んでビットコインはゴールドであると腹落ちする

ーー一割の中にビットコインも含まれているとのことで、株式投資歴が長い方にはビットコインに否定的な方も多いですが、SGeeさんはビットコインをどのように見ていますか。

色んな書籍を雑多に読んでいく中でたまたま「ビットコイン・スタンダード」という書籍を読んで、これは「ゴールドなんだな」と腹落ちして、それ以降、ビットコインを保有し続けています。

逆に、ビットコイン以外の、発行主体がいる暗号資産については、ビットコイン・スタンダードを読んだ限りにおいては根本的に別物であるという認識で、昔買ったごく少額のアルトコインを除いて、保有しないようにしています。

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全三回のSGee氏のインタビュー、最後の3記事目に続きます

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