もし2024年にビットコインに強い上昇相場が訪れないとすればどのようなシナリオが想定されるか

この記事は何か

Burry Market Researchにて2023年に掲載した下記記事の続編です。

参考:2023年にビットコインを買ってもいいと思える5つの理由

執筆時点で、2024年はビットコインの価格が上昇すると予想するムードが強く、それに対する筆者の肯定・否定の両方の考えをまとめた記事です。

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免責事項

本記事は情報提供を主目的としており、暗号資産(及びそれに準ずる金融商品)の勧誘を目的とはしておりません。 最終的な投資に関する意思決定は、ご自身の判断であることをご理解ください。また、本記事の正確性や完全性を保証もしくは約束したものではございません。また、本記事の情報に基づいて被ったいかなる損失についても弊メディアでは一切責任を負いませんのご承知ください。

この記事の執筆時期

2023年12月13日から2024年1月15日にかけて執筆した記事です。

前提

筆者はビットコイナーではありません。トレーダーです。

ビットコインの本質的な価値、ナラティブや社会に対する影響に対してポジティブに見ていますが、ひたすら買い増し・保有を行ういわゆるビットコイナーではありません。

ビットコインが作る未来に賛同しつつ、それらと並行し安く買って高く売る、高く買って安く売ることを目指しています。

そのため、バイアスを完全に排除しきれなくとも一定のバランスを持った見解が提供できるのではと考えています。

前提として、2024年のビットコイン価格が上昇すると予想されている理由

ビットコインの半減期の到来

ビットコインには、約4年ごとにマイニングの採掘量が半分になる半減期がありますが、この半減期でマイナーの売り圧力が弱まることでビットコインの価格に対しては上昇圧力があるとされており、過去も半減期以降に価格が上昇しています。

直近では、次回半減期は2024年の4月から5月頃に訪れるとされています。

引用元:2024年のビットコイン見通し 本格的な強気相場はいつからか? | ビットバンクプラス

ビットコインETF承認の実現

日本時間の2024年1月11日にSECにてビットコインのETF承認が発表されました。

ETF承認により、多くの企業や機関投資家がビットコイン市場に参入しやすくなることから、多くの資金流入が見込め、ビットコイン価格の上昇が期待されています。

参考:「ビットコインのETF承認に伴う機関投資家による買いは売りに回りづらい一方的な買い圧になる」pafin・斎藤 岳氏 前編

ビットコインはデジタルゴールドとも表現されますが、リアルなゴールドの金は2004年11月にETFが承認されており、その後は下記の上昇チャートを描いています。

現物が保有しづらい金に対してビットコインはETFでなくてもデジタルで保有しやすいなど単純比較はできませんが、類似の金融商品のETF承認後の価格推移として一考に値すると考えます。

過去4年サイクルの踏襲

ビットコインにおける約4年ごとの価格サイクルは、2009年頃に登場して以来一貫して観測されています。BTC/USDの200日移動平均線からも、過去に4年ごとの周期でブル相場とベア相場を繰り返していることがわかります。

参考:200 Week Moving Average Heatmap | LookIntoBitcoin

この4年サイクルが今後も繰り返すと仮定すると、2024年にはブル相場が到来する可能性が高いことが予想されます。

米国の利下げによる追い風

米国で利下げが開始されればビットコインにとっても追い風となります。

政策金利が高く設定されている場合には、投資家にとっては配当も金利も得られない、価格変動リスクも大きいビットコインよりも、金利などのインカムゲインが得られリスクも比較的小さい債券や通貨を保有するインセンティブが高まりますが、金利が下がればそれ相応にビットコインを買うインセンティブが高まります。

実際、2009年に誕生したビットコインは多くの時期において低金利とともにあり、これまでの強い価格上昇の要因の一つであると指摘する声も少なくありません。

当該記事の執筆時点で、2024年には4回の利下げが織り込まれており、織り込みどおりに利下げが実現すればビットコインの価格にとってポジティブでしょう。

参考:FRB、24年に4回利下げ 3月着手 合計1.0%=BofA | ロイター
参考:米利下げは予想よりも大幅になる可能性-JPモルガン・アセット – Bloomberg

社会情勢の不安化による資金流入

イスラエル戦争や、米国航空機や船舶の沈没・撃墜といった報道に加え、台湾有事の可能性など、地政学的リスクの上昇が各専門家より指摘されています。こういったリスクは2023年年初より指摘されていましたが、現在時点でその可能性は高まっています。

このような不安定な世界情勢によって政治的・経済的な不安が高まる中、国家や特定の経済に属さない、インターネットネイティブなマネーであるビットコインは有事に逃避先として選択される可能性が高いでしょう。

参考:紅海で商業船「ハイジャック未遂」 米軍がフーシ派ボートを沈没 – BBCニュース

もし2024年にビットコインに強い上昇相場が訪れないとすればどのようなシナリオが想定されるか

筆者の観測範囲では多くのマーケット参加者がビットコインの価格上昇を予測しており、市場全体でポジティブなムードが感じられますが、市場のコンセンサスが裏切られた時ほど価格は大きく動くものであり、いまから悲観シナリオを想定しておく意義は大きいと考えます。

では多くのマーケット参加者が予想するほど2024年にビットコインの価格が上昇しない、相場が盛り上がらない場合、どのようなシナリオが考えられるでしょうか。以降の後半にてこれらの可能性について筆者の予想を述べます。

2019年と同じ価格動向となる可能性

2019年は3月の底値となる約3,000ドルから同年6月に4倍強の14,000ドル程まで上昇しましたが、6ヶ月かけて7,000ドル程まで下落し、2020年にはコロナショックによりさらに4,000ドル程度まで暴落しました。その後、金融緩和の影響によって再び上昇しています。

2024年ではETF承認時にビットコインの価格は48,500ドルまで上昇しましたが、これは前回高値の約半値で、2019年の動向に類似しています。

また、ETF承認や半減期、米国の利下げなどポジティブ要素が揃っているとはいえ、前回高値を更新するにしても一回の上昇でそのまま素直に直線的に更新するとは考えづらいです。

参考:「ビットコインは4万8,000ドルまで上昇すれば利確売りで3万ドルあたりまでは戻ってくる可能性が高い」クリプトトレーダー・タキオン氏 1/2

2023年10月下旬以降、ビットコインの価格は大きな調整もなく右肩上がりに上昇しつづけており、これから20-30%の調整、2-6ヶ月のレンジ相場を挟んでATHを試す、といった値動き、つまり2019-2020年前半に近い値動きの可能性も低くはないと筆者は予想します。

その場合、2023年中は4万ドル前後で横ばい、または5万ドル程度までの上昇で終える可能性があります。

米国の利下げ実施が後ろ倒し、または追加利上げとなった場合

米国経済が大幅な利上げによって後退し、景気を刺激するための利下げが必要になるというシナリオは、以前から議論されマーケットのコンセンサスとなっています。

しかし現在の米国経済は、以前に予想されていたような急激な混乱を見せず、どちらかといえばソフトランディングに向かっています。

今後も緩やかな景気後退が続いた、もしくはマーケットのコンセンサスに反して消費者物価指数が上昇した場合、利下げを急ぐ必要性が低い、または追加の利上げを実施する必要があると判断され、利下げが後ろ倒しになる可能性があります。

前述のとおり、2024年内での米国の利下げは既に4回を織り込んでおり、現在のビットコインの価格にも一定程度、織り込まれているはずです。

コンセンサス以上に利下げが後倒し、または追加利上げとなった場合、いまマーケットが予想しているほど2024年のビットコイン価格は強く上昇しないかもしれません。

参考:米FRB、3会合連続据え置き 来年の利下げ開始を示唆|ロイター
参考:インフレ加速を示唆する12月米インフレ率 | グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート

全体では上昇しても一時的な暴落の可能性は高くレバレッジの掛け方は注意が必要

社会情勢の不安定化による下落

2020年にはコロナショックにより当時約100万円だったビットコインは約40万円まで急落し、その後は2020年後半から2021年秋にかけて大きく回復していきました。

4年周期を繰り返すとしても一時的なショックによる大幅下落まで踏襲するとは考えづらいですが、現在ではウクライナ戦争やイスラエル戦争、台湾有事の可能性など、地政学的リスクはさらに高まっており、無視できない可能性であると考えます。

参考:「いまのマーケットはシステミックリスクをなんとか踏みとどまっている状態」金融リスク管理専門家・内田善彦氏 1/5

金融市場の不安定化や不確実性の高まりに伴い、リスク資産は売られやすい傾向にあります。2024年全体で強く上昇する相場が訪れた場合でも一時的に数十%、ビットコインの価格が下落する可能性は決して低くなく、レバレッジをかけたポジションについては十分に注意が必要です。

米国の景気後退がトリガーとなるビットコインへの影響

2023年3月にシリコンバレー銀行の破綻によって$USDCがペグしたことでビットコイン価格が急落しましたが、このような米国経済後退による影響がビットコインに波及する可能性はいまなお残っているはずです。

参考:SVB破綻でステーブルコイン「USDC」に売り殺到、ドルと乖離Forbes JAPAN

現在の米国経済は以前のマーケットの予想に反してソフトランディング傾向であるとはいえ、各所で確実にダメージを受けているはずです。これらのダメージがSVBショックのような、予期せぬ形でビットコイン価格の暴落に繋がる可能性もまだ残っていると筆者は見ています。

▼SVBショック時のビットコイン価格の推移

価格が上がったとしても気をつけておくべきこと

レンディングサービスの利用

ビットコインの価格が上昇し相場が盛り上がると、連動してさまざまなレンディングサービスが展開されますが、過去に数多くのレンディングサービスが破綻し、預け資産が戻らなかった事例があります。

ブル相場ではマーケット参加者の心理も強気となり、レンディングサービスに対してもリスクを小さく見積もりがちですが、異様に利率が高い、利率の裏付けがわからないサービスは利用しない、大きすぎる金額を一つのサービスに預けないなど、利用には注意が必要です。

参考:仮想通貨のレンディングサービスは安全なのか? – BMR

詐欺への対策

相場が盛り上がると、その盛り上がりと連動して詐欺が増えるとされています。特にビットコインや暗号資産の領域はさまざまな形で詐欺やそれに近いものが蔓延っています。

上昇相場でうまくリターンを出せても詐欺で失っては意味がありませんので、資産額を安易に明かさない、オフラインでの交流には注意するなど対策が必要です。

参考:2022年上半期 暗号資産関連犯罪 レポート:暗号資産市場の下落と共に違法行為は減少するも、注目すべき例外も|Chainalysis

下記では2017年から暗号資産に携わるトレーダーによる詐欺への注意喚起や「信用」についてどのように考えるべきかについて解説されています。

参考:「儲け話に見えるものが実はリスクの裏返しであることを忘れてはいけない」クリプトトレーダー・タキオン氏 ⅓
参考:投資家はどのように信用、リスク管理すべきか Cygnos・三原 弘之氏

適切な利確

強い上昇相場では価格が永遠に上昇し続けると錯覚しがちですが、当然ながら永遠に上昇し続けるマーケットはありません。強く握らなければ大きなリターンは得られませんが、いつか相場は必ず反転することを念頭に売却についても戦略的に実施するべきでしょう。

参考:「資金管理と取るべきリスク量に対してのバランス感覚がある人は暗号資産の取引に向いている」クリプトプレイヤー・うどん氏 2/3

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